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第6話
前回、エナジードリンクを愛斗にくれた柳田ですが、愛斗はモヤモヤするばかり!?
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それから数週間後の六月半ば頃のある日、午後七時半のレストラン厨房はてんやわんやの状態だった。
息を吐く暇もなく、厨房の誰もが忙しく動き回っている。
そうなると、きっとホールもバタバタしているに違いないと愛斗は思った。
そこでマネージャーの柳田を呼ぶことにする。
「マネージャー!」
厨房から呼ぶと、柳田はディシャップの近くまでやってきた。
「何でしょうか」
「さっきの予約はどうなったんだ?」
「あぁ、問題ありませんよ」
柳田は涼しい顔で笑顔を見せた。
『何だと!?』
ところが愛斗がホールの方に目をやると、厨房は戦争状態なのにホールには穏やかな空気が流れているではないか。
満席となっているのにも関わらず、だ。
『こっちはバタバタしてるってのに、ホールはどうしたんだ?』
厨房の忙しさとホールの静寂のギャップに愛斗は困惑する。
スタッフも落ち着いているし、クレームが来ているわけでもなさそうだ。
お客たちも普通に食事を楽しんでいるし、違和感を覚えた愛斗。
「ホールは大丈夫ですから、調理に専念してください」
冷静な表情でそれだけ言うと、柳田はまたホールでの仕事に戻っていく。
『一体、どうなってるんだ!?』
愛斗の頭の中は、わけがわからなくなった。
しかし考え事をしている場合ではなかったため、違和感を抱えながらも愛斗は料理を再開したのだった。
いつもに増して忙しかったその日の営業が終わり、愛斗はくたくたになった。
『あー死にそう…』
もう一歩も動けないとばかりに、ホールの客席に脚を投げ出しダラリと座る。
すると、ホール担当のスタッフ・一木が通りかかったので呼び止めた。
「なぁ。今晩来た団体、どうしたんだ?ホール静かだったけど、席あったのか?」
「あぁ。俺もびっくりしたんですけど、席替えしてもらったんですよ」
「え!?あのタイミングでか?」
「はい。柳田さんが全部調整してくれたんですよね」
何かやってるのか!?あいつは…。
「そう、だったのか…」
「俺はよく分からなかったですけどね。柳田さんが動いてたのは本当っす」
席が足りなくなったわけじゃなかったんだ…。
あいつは、“時間”を作ってたのか…。
柳田は、ちょっとの時間で滞在時間の短いお客を把握していたのだ。
そして、コース料理を出す順序を調整していた。
その上で、予約客を別席に自然に案内していたのが事実である。
これで、ホールは混乱一つ起きずに穏やかな時間を保っていたというわけだ。
愛斗自身はホールのことなど一切分からない。
料理一筋でここまで来たから。
店を構えて安心して料理に打ち込めたのは、他でもなく柳田がいてくれるからこそなのだ。
あいつは凄い、一体何者なんだ…。
愛斗の中で、柳田の存在感はますます大きくなっていった。
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読んでいただきありがとうございましたm(__)m
柳田は、お客の無理難題にもスピーディーに動いていた!
彼の有能さに改めて脱帽する愛斗なのです。
さてさて、次は何が起こりますやら!?
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