7 / 13

第7話

前回は、マネージャーとしての柳田に愛斗が脱帽しましたね。 柳田に対する信頼は増すばかりで!? ****************************************** それからの愛斗は、柳田への信頼がさらに強くなっていく。 『あいつがいれば、怖いものはないな…』 そう思うほどに。 梅雨が明けた頃のある日、ふとホールで準備作業中である柳田の方を見た愛斗。 普段通りに作業をしているように見えるが、どこか具合悪そうに見える。 顔色も、何となく良くないようだ。 「おい」 愛斗はホールに出ていき、カトラリーを準備している柳田に声をかけた。 「何でしょう」 愛斗の方を向いた柳田は、顔色一つ変えずに、いつもと同じ様子だった。 『気のせいだったのかな…』 そう思いながらも、愛斗は尋ねた。 「お前、体調でも悪いのか?」 「え!?」 聞かれた柳田は、意表を突かれたとばかりに目を見開く。 「いや、ちょっと具合悪そうに見えたからさ。気のせいならそれでいいんだけど…」 言葉の最後は口ごもってしまう。 こうやって体調を尋ねるなんて初めてのことだし、気恥ずかしくもあったから。 「私を気遣ってくれるんですか?」 「ま、まぁ、大事なスタッフだしな…」 それしか言えなかった。 「…そうですか…。ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。心配には及びません」 「そ、そうか?それならいいんだけど。あまり無理はするなよ?」 お前に倒れられたら、気が気じゃなくなるから…。 「はい…」 柳田はそう答えると、複雑そうな笑みを顔に浮かべた。 『何だ?この表情は…』 これから営業だというのに、愛斗の心にはモヤモヤとしたものが広がったである。 その日の店内は盛況で、ランチタイムも混んでいた。 狭い厨房を通ろうとした時、たまたま厨房にいた柳田とすれ違いざまにぶつかりそうになった。 「あっ…」 おたまを手にした愛斗はバランスを崩し、倒れそうになる。 「あっ!」 咄嗟にそれを支えようとした柳田と、不意打ちで唇同士が触れ合ってしまったではないか。 「んっ…」 一体これは何だろうか…。 二人はすぐに離れたが、柳田の方は動揺しているようで顔まで真っ赤にしている。 どうやら愛斗は、柳田とキスをしてしまったらしい。 『ヤバい…どうしよう…』 忙しい最中のことだったし、他のスタッフたちには”あの”瞬間は見られていないようだ。 それだけは不幸中の幸いと言ったところだろう。 この場合、柳田に何と声をかけたら良いのだろうかと、愛斗は悩んだ。 「す、すまん…慌ててたから…」 「いいえ、こちらこそ。大丈夫ですか?」 そう言った柳田の表情は、いつものクールなマネージャーのものになっていた。 愛斗にしてみると、それはホッとしたような気もするし、残念な気持ちもあった。 業務中のことだからすぐに切り替えるのは当然のことだが、なかったことにされるのかなと思うと、少し寂しかったのだ。 それでも自分を気遣ってくれたようなので、その点は心がほっこりとした。 「うん、大丈夫。お前こそ大丈夫か?」 「はい。大事な手を怪我されませんように…」 気持ちの見えない表情でそう言うと、柳田は立ち上がりいつも通りに厨房から出ていったのである。 ****************************************** 読んでいただきありがとうございましたm(__)m 忙しく立ち回っていたら、こんなハプニングもあるのかも!? 突然の出来事に、2人はこれからどうなる!?

ともだちにシェアしよう!