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第10話
柳田と鈴木のことで悶々とする愛斗ですが、果たして柳田らには何かがあるのか!?
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営業後の片付けも終わり愛斗も帰ろうとしたところ、バックヤードに立ち寄るとまだ柳田はパソコンを操作していた。
『まだ仕事してたのか…』
そう思いながら彼の顔をチラリと見ると、何だか具合が良くなさそうだ。
顔色も悪そうに見える。
『こいつ、大丈夫なのか?』
そう思いつつ愛斗は柳田に声をかけてみた。
「おい、まだ帰らないのか?」
「あぁ、えぇ。まぁ…今日中に終わらせたい仕事があったので」
柳田は平静を装っているが、どう見ても具合が悪いに違いない。
「お前、具合悪いんだろ?」
「いえ、私なら大丈夫です…」
強がってはいるが、鈍感な愛斗でも具合が悪いことくらい分かる。
「嘘つけ!無理するなって」
汗をかいているし、しんどそうだ。
咄嗟に柳田の額に手を当てると、熱い。
「おい、熱もあるじゃないか!」
「大丈夫ですよ…この程度…」
なぜこんなにまで強がるんだろうか。
「一体、いつからなんだ?」
店のシェフとして、スタッフの体調の変化にも気づかなかったとなれば、反省すべき点だ。
「数日前からちょっと体調が優れなかったんですけど…寝れば治りますから…」
そう言って柳田は立ち上がろうとしたのだが…。
しかしふらついて倒れそうになってしまったため、それを愛斗が受け止め回避した。
「おい、大丈夫か?何でこんなになるまで放っておいたんだよ!」
「シェフや皆に迷惑をかけたくなかったから…」
実は柳田が言うには、この日の夕方辺りから体調が悪化してきていたのだそうだ。
「そんなこと言って!倒れてしまったらダメだろう!」
『全く…前に俺を気遣ってドリンクくれたのに…お前が倒れるのかよ…』
「すみません…結局、迷惑をかけてしまいましたね…」
このまま放置していくわけにもいかないし、彼は自力で帰れる状態ではない。
家の場所を聞こうと思ったのだが、柳田は気を失ってしまっていた。
『くそっ…』
スタッフの名簿から住所を調べたとしても、勝手に家に上がることは憚(はばか)られる。
迷った末に、愛斗は柳田を自宅に連れて帰ることにした。
どうしてこんなことに、と思いながらも、起こして何とか背負ったのだった…。
背中に柳田を感じながら、愛斗は自分の車に移動。
そして取り敢えず、店から車で15分の距離にある自宅マンションへと帰ってきた。
そして、背負ってきた大男を自身のベッドへと寝かせたのである。
『あー、くそっ。なんて重いんだ…』
そう心の中で悪態を吐きながら、溜め息を吐く。
『俺はソファーで寝ればいいか…』
そう考えながら、ベッドに横たわる男に布団を被せてあげた。
柳田を背負ってきたため余計に疲れてしまったと思いつつも、愛斗は彼に触れたことにドキドキしたのも事実だ。
『俺のベッドで、柳田が寝てる…』
そう思うだけで、何故か悪いことのような気になってしまう。
それでも愛斗は、甲斐甲斐しく柳田の看病をした。
柳田の額に乗せたタオルを交換した愛斗。
ベッドの傍らにしゃがみ込んだ彼は、スッと自分の腕を眠る柳田の顔に近付けた。
そして顔の手前で躊躇うように一瞬止めたものの、柳田の髪に触れ優しく撫でたのだった。
『ずっと無理してたのかな…誰にも言わずに…』
柳田は無理をしてしまう面があるが、倒れるほどになっていたとは…。
もっと自分を労わればいいのに、と愛斗は思った。
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読んでいただきありがとうございましたm(__)m
倒れた柳田を自宅へと連れ帰った愛斗。
柳田の体調も気になるところですが、これから2人はどうなるのでしょうか!?
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