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第11話

前回は、店で突然倒れた柳田を愛斗が看病しましたが、さて翌日はどんな様子になっているでしょうか? ****************************************** 翌朝、愛斗が柳田の様子を見に行くと、彼は既に目覚めていた。 「目、覚めたか。どう?具合は」 「すみません…でも、ここは…」 何とか起き上がろうとする柳田を、愛斗は押しとどめる。 「まだ寝てろって。ここは、俺の家だよ」 「シェフの…家?」 大人しく再度横になった柳田が不思議そうに問い返した。 「あぁ、そうだよ。熱出てたしさ、ドラッグストアで薬も買ってきといたぞ」 柳田は自分の額に冷却シートが貼られていることに、その時気付いた様子。 「これも、シェフが?」 「うん。それで?具合の方は?」 「大分、良くなりました…」 そう呟いた柳田の顔は、どことなく申し訳なさそうに見える。 「そうか。それは良かった」 「ご迷惑をおかけして、すみません…」 「いや、いいんだ。ってか何か食べろ、薬飲まなきゃいけないだろ」 柳田は愛斗を見上げて素直に頷いた。 「じゃ、お粥(かゆ)でも作ってやるから」 そう言ってその場を離れようとした愛斗に、背後から声がかかった。 「あ、あの…。卵粥、作ってもらえますか?」 柳田が何かを頼んでくることなんて今までなかったから、愛斗は意表を突かれる。 「シェフの、卵粥が食べたいです…」 聞くと、いつもレストランで作ってる料理ではなく、愛斗の素朴な料理が食べたいのだと言う。 「なんだそれ」 そう言って愛斗は笑った。 「お粥なんて料理と言えるほどのものでもないし、誰でも作れるだろ?」 卵粥が食べたいなんて、甘えられてるようで少し嬉しくもあった。 「そうですが…シェフが俺のために作ってくれるというのが大事なんです」 柳田は弱々しく顔に笑みを浮かべる。 「よ、よし!分かった!俺のお手製卵粥をすぐ作ってやるよ」 愛斗は照れ臭さを隠してキッチンへと向かった。 「美味しい…」 布団を体にかけた状態で、ベッドに座りながらお粥を食べていた柳田が呟く。 「そうか?ただのお粥だけどな」 愛斗が苦笑すると、柳田は否定するように首を横に振った。 「いいえ。シェフの、こういうのが食べたかったんです」 「…」 素直にそう言われて、愛斗は気恥ずかしさに顔を赤くした。 「シェフのお粥を食べられて、少し得したかもしれません…」 その言葉に一瞬ドキリとしたが、どうせ普段はイタリアンしか作ってないし、お粥を作ったのがレアだから、というのだろう。 柳田は愛斗の作ったお粥を平らげてくれた。 彼は少し咳もしているので、風邪薬を飲ませる。 「熱は昨夜よりは引いたみたいだけど、計っとけ」 愛斗が差し出した体温計を受け取ると、柳田は素直に頷いた。 その顔は、心なしか赤いように感じられる。 「優しいんですね、シェフ…」 「え?そ、そんなこと…」 今度は愛斗が顔を赤くする番だった。 「そういや、エナジードリンクの礼、できてなかったしな」 ぶっきらぼうに言うと、柳田は「あぁ」と弱々しく笑った。 「今日はちょうど店休だしさ、家で休んでけば?」 せっかく柳田がいるのだし、ゆっくりしていって欲しかったのだ。 愛斗の申し出に、柳田は目を瞬かせた。 彼のこんな仕草は初めて見る。 『こういう表情もするんだな…』 店内では見せないような表情を見せてくれて、愛斗は嬉しかった。 ************************************ 読んでいただきありがとうございましたm(__)m 店では見せないような表情を見せてくれた柳田。 愛斗に「休んでいけば?」と言われ、何と返すのか次回をお楽しみに!

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