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第12話

柳田に泊まるように誘った愛斗ですが、柳田はどうするのでしょうか? ***************************************** 「で、でも…」 遠慮しているのか、柳田は躊躇(ためら)いを見せる。 「予定でもあるのか?」 「いえ、特には…」 「それじゃ、嫌じゃないならゆっくりしてけよ」 優しい口調で愛斗が言うと、「そうですね、シェフがご迷惑でなければ」と恐縮したように答えた。 柳田の熱は三十六度五分だったため、ある程度は安心して良いだろう。 「お前、映画好きか?」 ここにいろと言ったのはいいが、何をしようか考えた。 そこで、柳田の趣味などをほとんど知らなかったことに気付く。 俺は、こいつについて知らないことだらけだ…。 そう思うと、愛斗は少しがっかりする。 「えぇ。好きですよ」 柳田の答えに、愛斗は胸をなで下ろした。 それと共に彼のことを一つ知ることができ、嬉しさに心の中にほんわりとしたものが広がった。 「そか。じゃ、配信で映画でも見るか?」 「いいですよ。でも、どうやって?」 「テレビに、動画サイトが見れる機能が付いてるんだよ」 柳田は「あぁ」と頷く。 彼は、サブスクの動画サイトは利用していないらしい。 「それで、どんなジャンルが好きなんだ?俺は洋画で、アクションかSFかな」 「私も同じです。よく映画館に行くんですよ」 「マジ?それは良かった。じゃあ、何見よっか…」 愛斗はテレビを操作していたが、ふとその手を止めた。 「昨日の営業中にさ…」 言いにくそうに切り出した愛斗に、柳田は視線を向ける。 「はい?」 「鈴木が、お前に触れてただろう?」 「あぁ…それは、私が体調が優れなかったので、心配してくれてただけです…」 そうだろうと思った。 鈴木も、柳田の変化に気付いていたのだ。 どちらも主にホールにいるから、気付きやすいのかもしれない。 ただ愛斗も少し前から柳田の変化に気付いていたのに…。 それに…柳田に鈴木が触れたこと自体に、愛斗は嫉妬していた。 それに気付いた真斗本人は、胸が苦しくなった。 『何で俺…こんなに鈴木に嫉妬してるんだ?今までは、何ともなかったのにな…』 そう思ったが、愛斗は気持ちを切り替え再びテレビのリモコンを操作した。 「そっか…。それで、何を観る?」 それ以上聞けずに、愛斗は話を変えた。 愛斗が柳田の方を向くと、彼はジッとこちらを見ている。 「何だよ…それで、こん中で観たい映画ある?」 もう一度問うと、柳田はハッとした。 「そ、それじゃ…これを…」 テレビ画面には、様々な映画のラインナップが並んでいる。 柳田が指差したのは、愛斗も未視聴の作品だった。 「あ、これ俺も観てないや。いつか観ようと思ってたんだけどさ」 前年に公開された人気作で、一ヶ月前から配信されていた作品だ。 「そうでしたか。主演の俳優が好きで、よく観てるんです」 「俺もこの俳優好きでさ。ハズレないよな」 「そうですね」 そう言って柳田は笑った。 それから二人は、しばし映画の世界に没入していく。 ************************************** お読みいただきありがとうございました! 一緒に映画鑑賞をした愛斗と柳田。 さて、この後は一体どうなるのかお楽しみに!

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