19 / 19
第19話
柳田の部屋でゲームを楽しむ愛斗ですが、これからどうなるのか!?
****************************************
『もうこんな時間か…』
部屋の掛け時計を見ると、既に時刻は夜十時過ぎになっていた。
柳田がゲーム機を持っているとは思わなかったが、意外に楽しい時間を過ごせたと思う。
思いがけず柳田の家に長居をしてしまったことに、愛斗は恐縮してしまう。
「ごめん。こんな時間になってるとは…」
「あぁ…結構時間過ぎたな」
そう言いながら、何か言いたげに柳田は愛斗をじっと見つめてきた。
「な、なに?」
「いや…時間が経つの、本当に早いなと思って」
「そうだな…それじゃ、そろそろ帰るわ…」
愛斗はそう言って、居心地の良かったソファーから立ち上がった。
本当は、ここにまだいたい気持ちもある。
けれど、もし帰らずにいたら理性が保てなくなるかもしれない。
第一、初めてきた家なのにこんな遅くまでいたこと自体、非常識かもしれないから。
「泊まっていけばいいのに…それくらいの用意はあるよ」
「そりゃそうだろうけど…」
泊まったとしてもただ眠るだけだと分かっているが、柳田への気持ちが抑えられなくなる可能性もあるのだ。
柳田本人にはとても言えないから、愛斗はぐっと言葉を呑み込む。
「俺の家、泊まるの嫌か?」
そう言う柳田の顔はとてつもなく寂しそうだった。
「帰る」と愛斗に言われて、そんなにショックなのだろうか。
「そうじゃないよ。でも、明日は午前中からちょっと用があるからさ」
そんなのは嘘だった。
本当は泊まってみたいけれど、そう言うしかないのだ。
「今日はありがとうな」と言って、愛斗はソファーから立ち上がり玄関に向かおうとする。
自分の気持ちが揺らいでしまう前に、さっさと帰ってしまいたい…。
後ろ髪ひかれる思いも残しつつ、愛斗は廊下を歩く。
その後ろを、柳田も慌てて追ってきてるのが分かる。
頼む…引き止めないでくれ…。
もし引き止められたら…全てを明かしてしまいそうだ…。
玄関までたどり着いた時、後ろから声をかけられた。
「本当に、もう帰るの?」
柳田の声に愛斗が後ろを振り向くと、柳田がドアにバンと片手をついて身を寄せてきた。
『なっ、なんだ!?』
愛斗が驚くと、空いた手を彼の顎に添えて、熱っぽい視線を向けてきたのだ。
なんだ、この状況は…。
柳田のこの目は一体なんなんだ…。
愛斗の頭は混乱してしまう。
店でオーダーが幾つも重なった時よりも、混乱しているかもしれない。
それに、自分の胸の鼓動が速くなってることを、柳田にバレてしまいそうだ。
「どうしたんだよ…」
「別に、取って食おうってわけじゃない。もう遅いしさ、泊まってけよ…」
熱っぽい目のまま柳田が提案してくる。
こうしてる間にも時間は過ぎていく。
柳田も、とりあえずは好意で言ってくれているのだろう。
帰ることもできるが、泊まらせてもらおうか。
愛斗に視線を合わせたままの柳田に返事をする。
「わ、分かったよ。泊まってやるよ!」
顔を赤くしながら言うと、柳田の手は愛斗の顎から離れた。
「最初から素直にそう言えばいいんだ」
柳田は何事もなかったかのように、その場から離れた。
愛斗は胸の鼓動がなかなか収まらず、その場にへたり込みそうになる。
それから愛斗はリビングのソファーで寝かせてもらった。
柳田はベッドを使ってもいいと言ってくれたが、それは気が引けたので断ったのだ。
『何でアイツ、あんなことしたんだろう…』
愛斗は、玄関での出来事を思い出しながら悶々とした。
『本当に、アイツが分からない…』
そしていつしか、眠りの世界へと誘(いざな)われていった。
****************************************
読んでいただきありがとうございましたm(__)m
なんと、柳田の部屋に泊まることになった愛斗。
初めてのことで内心ドキドキです。
それでは、次回もお楽しみください(*^▽^*)
ともだちにシェアしよう!

