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第20話

柳田の部屋にお泊りしてドキドキが止まらない愛斗!?さてどうなるのか… ****************************************** ピピピピ…ピピピピ… 『ん…もう起きる時間か?』 翌朝、愛斗は携帯のアラームで目を覚ました。 時刻は午前八時、世間は既に動き出している頃。 自身の仕事の日ならまだ起きていない時間帯だ。 ただ今いるのは人の家だし、なるべく早めに起きた方が良いと思ったのである。 寝ぼけながらアラームを止めると、キッチンから匂いが漂ってくるのに気が付いた。 しかも物音がするので、愛斗はそちらに顔を向けた。 どうやら、柳田が朝食を作ってくれているらしい。 『この匂い、何かおかしくないか?』 多少の違和感を覚えたが、愛斗は大して気には留めなかった。 そうしていると、「朝食できたぞ」と柳田から声がかかった。 テーブルを見てみると、そこにはきちんとランチョンマットが敷かれている。 その上には卵焼きや焼き鮭、味噌汁などが並んでいて、配置は完璧である。 こういった家庭的な朝食に飢えていた愛斗は、内心テンションが上がった。 『なんか、美味そうだな…』 配置が完璧なのは、有能なレストランマネージャーだからこそなのだろうか。 柳田は普段からきちんとしているらしい。 とにかく早く食べないと、仕事に遅れてしまう。 「悪いな、朝飯作ってもらって…」 いつも愛斗の朝はバタバタと簡単に済ませることが多いから、自分でもちゃんと食べようかと思ったのだった。 「いいんだ。早く食べて店に行こう」 「そ、そうだな」 愛斗は着席して「いただきます」と手を合わせた。 柳田が出してくれた食事を食べることは初めてだし、完璧ではない味でもどれも美味しく感じられる。 愛斗がゆっくりと朝食を味わっていると、柳田の視線を感じた。 そんなにジロジロと見るな…そう思いながらも黙々と食べる愛斗。 「なに?どうかした?」 そう愛斗が尋ねると、柳田はご飯茶碗と箸を持ちながら答えた。 「いや…三角食べをしっかりしてほしいな、と…」 「は!?」 “三角食べ”とは、かつて食事の仕方の一つとして薦められてきた方法。 ご飯などの主食と、汁物、おかずを規則正しい順序で食べるというものだ。 そういった指導法があったということは、シェフである愛斗も聞いたことがある。 ただ、実際に自分で試したことはなかった…。 「知ってるか?三角食べ」 「そりゃまぁ、聞いたことくらいはあるけど…」 とはいえ、三角食べは親にも教わらなかったし、小学校で習ったこともない。 それに、今はほとんど聞かなくなったと思うのだが…。 「俺は、三角食べは理にかなっていると思ってる。だから、ずっと続けてるんだ」 クソ真面目な柳田らしい発言だと愛斗は思った。 またこの彼の生真面目さが、愛斗にとっては…。 「だ、だからって俺にまで押し付けるのかよっ」 顔を赤くしながら訴えると、柳田が平然とした様子で言う。 「あんたはうちのシェフだから…。こういうところもちゃんとして欲しいんだよ」 「だからってさぁ、こんなのもう誰もやってないだろ」 愛斗の返しに、柳田は「まぁな…」と呟いて笑みを見せた。 柳田の顔をまじまじと見ていると、彼の目の下にクマができていることに気付く。 「なぁ。お前、寝不足なのか?」 「え?」 「いや、目の下にクマができてるからさ」 愛斗が指摘すると、柳田は恥ずかしそうに自分の目元に手を当てる。 それだけでなく、顔まで赤くなっているではないか。 「寝られなかったのは、あんたが泊まったからだ…。あんたも同じく、寝られなかったみたいだな?」 「へ!?」 なんでそんなことが分かるのだ、と愛斗は意表を突かれた。 「あんたもクマができてる」 「えっ、マジ!?」 確かに前夜は柳田の家で寝ている、柳田と一つ屋根の下で寝ている、そのせいでなかなか寝付けなかった。 自分の家に泊めたこともあるのに、その時との違いは一体どこにあるのだろうと自分でも思う。 「寝不足で調理とはいけないな。これから仕事なんだから、体調は整えておかないと」 口調はタメ口なのに、話すことは説教じみている。 そこは相変わらずだなと、愛斗は苦笑した。 「分かってるよ。今日も頑張らないとな」 「そうだ。早く食べて、さっさと出勤だ」 柳田に追い立てられるようにして食事を終えた後、愛斗たちは職場へと向かった。 ****************************************** 長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました! 柳田と一緒にお店に向かうことになった愛斗。 果たして、平常心でいられるのでしょうか!?

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