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第20話
柳田の部屋にお泊りしてドキドキが止まらない愛斗!?さてどうなるのか…
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ピピピピ…ピピピピ…
『ん…もう起きる時間か?』
翌朝、愛斗は携帯のアラームで目を覚ました。
時刻は午前八時、世間は既に動き出している頃。
自身の仕事の日ならまだ起きていない時間帯だ。
ただ今いるのは人の家だし、なるべく早めに起きた方が良いと思ったのである。
寝ぼけながらアラームを止めると、キッチンから匂いが漂ってくるのに気が付いた。
しかも物音がするので、愛斗はそちらに顔を向けた。
どうやら、柳田が朝食を作ってくれているらしい。
『この匂い、何かおかしくないか?』
多少の違和感を覚えたが、愛斗は大して気には留めなかった。
そうしていると、「朝食できたぞ」と柳田から声がかかった。
テーブルを見てみると、そこにはきちんとランチョンマットが敷かれている。
その上には卵焼きや焼き鮭、味噌汁などが並んでいて、配置は完璧である。
こういった家庭的な朝食に飢えていた愛斗は、内心テンションが上がった。
『なんか、美味そうだな…』
配置が完璧なのは、有能なレストランマネージャーだからこそなのだろうか。
柳田は普段からきちんとしているらしい。
とにかく早く食べないと、仕事に遅れてしまう。
「悪いな、朝飯作ってもらって…」
いつも愛斗の朝はバタバタと簡単に済ませることが多いから、自分でもちゃんと食べようかと思ったのだった。
「いいんだ。早く食べて店に行こう」
「そ、そうだな」
愛斗は着席して「いただきます」と手を合わせた。
柳田が出してくれた食事を食べることは初めてだし、完璧ではない味でもどれも美味しく感じられる。
愛斗がゆっくりと朝食を味わっていると、柳田の視線を感じた。
そんなにジロジロと見るな…そう思いながらも黙々と食べる愛斗。
「なに?どうかした?」
そう愛斗が尋ねると、柳田はご飯茶碗と箸を持ちながら答えた。
「いや…三角食べをしっかりしてほしいな、と…」
「は!?」
“三角食べ”とは、かつて食事の仕方の一つとして薦められてきた方法。
ご飯などの主食と、汁物、おかずを規則正しい順序で食べるというものだ。
そういった指導法があったということは、シェフである愛斗も聞いたことがある。
ただ、実際に自分で試したことはなかった…。
「知ってるか?三角食べ」
「そりゃまぁ、聞いたことくらいはあるけど…」
とはいえ、三角食べは親にも教わらなかったし、小学校で習ったこともない。
それに、今はほとんど聞かなくなったと思うのだが…。
「俺は、三角食べは理にかなっていると思ってる。だから、ずっと続けてるんだ」
クソ真面目な柳田らしい発言だと愛斗は思った。
またこの彼の生真面目さが、愛斗にとっては…。
「だ、だからって俺にまで押し付けるのかよっ」
顔を赤くしながら訴えると、柳田が平然とした様子で言う。
「あんたはうちのシェフだから…。こういうところもちゃんとして欲しいんだよ」
「だからってさぁ、こんなのもう誰もやってないだろ」
愛斗の返しに、柳田は「まぁな…」と呟いて笑みを見せた。
柳田の顔をまじまじと見ていると、彼の目の下にクマができていることに気付く。
「なぁ。お前、寝不足なのか?」
「え?」
「いや、目の下にクマができてるからさ」
愛斗が指摘すると、柳田は恥ずかしそうに自分の目元に手を当てる。
それだけでなく、顔まで赤くなっているではないか。
「寝られなかったのは、あんたが泊まったからだ…。あんたも同じく、寝られなかったみたいだな?」
「へ!?」
なんでそんなことが分かるのだ、と愛斗は意表を突かれた。
「あんたもクマができてる」
「えっ、マジ!?」
確かに前夜は柳田の家で寝ている、柳田と一つ屋根の下で寝ている、そのせいでなかなか寝付けなかった。
自分の家に泊めたこともあるのに、その時との違いは一体どこにあるのだろうと自分でも思う。
「寝不足で調理とはいけないな。これから仕事なんだから、体調は整えておかないと」
口調はタメ口なのに、話すことは説教じみている。
そこは相変わらずだなと、愛斗は苦笑した。
「分かってるよ。今日も頑張らないとな」
「そうだ。早く食べて、さっさと出勤だ」
柳田に追い立てられるようにして食事を終えた後、愛斗たちは職場へと向かった。
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長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました!
柳田と一緒にお店に向かうことになった愛斗。
果たして、平常心でいられるのでしょうか!?
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