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第25話

コンセプト変更の件で柳田と口論をしているところを、スタッフの1人に聞かれてしまった!? ****************************************** 「たまたま聞こえてしまったんです…。うちの店、高級志向にするんですか?」 「決まったわけじゃない」 「でも…」 納得がいかない様子の荒川に、柳田が口を開く。 「スポンサーから、コンセプトを高級志向に変えるように指示がありました。しかしまだ決定はしていないので、動揺はしないでください」 実に冷静な説明だった。 「で、でも…」 もし高級に転向するとしても、その準備も大変なものになるだろう。 スタッフが心配するのも最もだ。 「他のスタッフたちにも、この件はまだ内密にしてくださいね」 有無を言わさない柳田の言葉に、荒川が頷いた。 「分かりました…。じゃ、帰ります…」 そのまま荒川はその場を後にした。 「取り敢えず、シェフもスタッフたちに洩らさないようにお願いします」 それだけ言うと、柳田も一礼してから帰っていったのである。 この日は良い気分で店に来たはずなのに、どうしてこうなるのだろうか。 朝には愛斗の車で出勤してきたため、帰りも柳田を送ろうと思っていたのだが…。 彼はタクシーをつかまえて帰ってしまったらしい。 「せっかく帰りも送りたかったのにな…」 柳田と少し近づけたと思ったのに、また遠くなってしまったような気がする。 コンセプトの件もどうすればいいのか分からないし、愛斗の胸はズキズキと痛んだのだった。 一体どうすればいいのか、悩む愛斗はしばらくその場に立ち尽くす。 次の日から、柳田は愛斗と必要事項以外話さなくなった。 これまでも距離を取られていたようには感じていたが、さらに話すことが少なくなったのだ。 おまけに、「○○○とマネージャーが言ってます」と他のスタッフ伝いに聞かされる始末。 そして柳田の態度についに、愛斗の怒りが爆発した。 ”いい加減にしろ!”と言ってやりたいと思っていた矢先…。 愛斗がふとフロアの方に目を向けると、見知った人物の姿に気付いた。 もう、とうの昔に記憶の奥底に封印したはずの人…。 他人の空似かと思ったが、どう見ても本人だ。 『なんでアイツが…』 わざわざ訪ねてきたわけじゃないだろう。 きっと、たまたま立ち寄ったのがこの店だっただけだ。 あの人は、ここが愛斗の店だと知らないのだから。 それでも、愛斗の胸はざわついた。 ランチタイム、その人は一人で来ているらしい。 飲料メーカーに勤めていると言っていた彼は、スーツ姿だ。 以前と変わらない様子に、チリチリと愛斗の心が疼(うず)く。 どうして今さら、あの人を見かけてしまったのだろう。 二度と見かけることもないと思っていたのに…。 コンセプトの件に加えて思わぬ人物の来店で、愛斗の心は大いに乱される。 厨房から少し見ていると、視線の先の人物は穏やかな笑顔の柳田に接客を受けていた。 複雑な気分になった愛斗は、雑念を払うように頭を振り視線を外したのだった。 ************************************** 読んでいただきありがとうございましたm(__)m スタッフに口論を聞かれてしまった件は、何とか収まったようですね! しかし今度は、愛斗が知っている人物が来店したようです。 コンセプト変更の件も片付いたわけではありませんが、さて、どうなる!?

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