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第27話

コンセプト変更の件で、未だに方向性を決められずにいる愛斗ですが、今後はどうなる!? ****************************************** その日の営業も終わり愛斗が帰ろうかと思っていた時、静かなバックヤードに柳田が入ってきた。 他のスタッフたちは既に帰ってしまっている。 「シェフ、お話があります」 珍しく柳田から声をかけられて、愛斗の心臓がざわめく。 「どうした?」 彼に何を言われるのか、内心ビクビクしてしまう。 「高田様の件で…」 「うん…」 やはり高田の言う通りにしろというのだろうか…そう愛斗は思っていたのだが…。 「シェフの思いも残した案を、高田様に提案できないかと…」 一体どういうことかと思ったら、今のカジュアルな雰囲気やメニューも残して、セレブでも来店できるような高級部門も作ればどうか、と柳田が 言う。 変えるとなると大変な面もあるだろうが、今のメニューや既存のお客を残せるというのだ。 「できるかな、そんなこと…」 「高田様しだいにはなりますが、提案してみる価値はあると思います」 柳田の言葉には確信が感じられた。 「そうだな…良い考えかもしれない。明日、言ってみるとするか」 愛斗が言うと、柳田は少し嬉しそうな顔をした。 しかしすぐに表情を改める。 「すみませんでした、シェフに反対して…。店を…店とシェフを守るためにはそれしかないと思ったもので…」 もし高田に逆らえば、愛斗も店にいられなくなると考えたのだ。 しかしこの一週間ほど、柳田は他の打開策をずっと模索していたらしい。 柳田があまり話さなかったのは、それも理由だったようだ。 「シェフがこの店を大事にしてきたのはよく知っています。だから、この店らしさも残せたらと思ったんです」 高級路線のメニューを作るのは楽ではないだろう。 でも愛斗にとって、シェフとして成長する機会かもしれない。 「そっか…ありがとう。明日、許可もらえたら早速動くか」 「そうですね」 柳田との間にあったわだかまりが、少し解けたような気がした。 もし彼との関係がそのままでも、わだかまりがなくなるだけでも良かったと愛斗は思う。 そしてなんとなく、こんなことも脳裏をよぎった。 『また、こいつのタメ口が聞ける日は来るのかな…』 翌日のランチ営業の後、高田が来訪したので客席を利用して話し合いの場を持った。 高田の隣にはその秘書が座り、高田の向かいに愛斗、その隣に柳田が着席する。 愛斗は柳田が提示してくれた案を高田に相談してみた。 高田は聞いた後にしばらく渋い顔をしていたが、頷いてこう言った。 「まぁ、高級志向の部門を作るのも良い案かもしれないな。ただ、君にできるのか?今よりもグレードの高い料理が、作れるか?」 店ではずっとリーズナブルな料理を作って来たが、それでも高級な料理を作れないわけでもない。 「はい。高級店で働いていたこともありますし、自信はあります」 愛斗の態度は毅然としていた。 「そうか。VIP用の席を設けるのであれば、私のお客もお招きできるな。良い案を考えたものだ」 考えれば簡単なことだと思うが思いつかなかったから、柳田には感服する。 「これはここにいる、柳田の案なんです」 正直に愛斗は、隣に座る柳田の方を見た。 「ほう、そうだったか。でかした。良いマネージャーを持ったものだな」 「はい、私もそう思います。それで、一つお願いがあるんですが…」 愛斗の言葉に、高田はぴかりと目を光らせた。 ****************************************** 読んでいただきありがとうございましたm(__)m 高級志向の部門を作る案を提案した愛斗は、柳田の案であると素直に白状。 さらには1つの願いがあると言い出したのだが!? 愛斗の言い出した願いとは、一体何なのか…。

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