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第28話

愛斗がスポンサーの高田にお願いがあると言い出した!そのお願いとは一体!? **************************************** 「なんだね?」 「もしこの案を了承していただけるのであれば、VIP席の設営や、高級料理のメニュー開発にかかる費用を援助いただけますか?」 「わはは。そうするとしよう。費用の面は私に任せなさい」 「ありがとうございます」 愛斗が高田に頭を下げると、ほぼ同時に柳田も頭を下げた。 「なに、いいんだよ。桜木くんの店への思いも分かるし、今の味や雰囲気を残したいというのも分かるしな。全て変えろと言った私も、酷なことをしたと思っているよ」 愛斗にコンセプトを変えろと言ってから、高田なりに考えることがあったのかもしれない。 「あと、通常営業をしながら高級向けのメニューを開発するのは大変なので、スタートまでしばらくお時間をいただけますか?」 「そうだな…。もし店全体をガラリと変えるならもっと時間がかかるだろう。それを考えたら、予算や期間も少なく済む。分かったよ。素敵なメニューを考案してくれ」 高田が納得してくれたようで、愛斗も安堵した。 「ありがとうございます。それでは、明日からさっそく高級向けのメニューを考えていこうと思います」 愛斗の言葉に、高田は満足げに「うむ」と頷く。 チラリと愛斗が横を見ると、柳田もホッとしているように感じられた。 本当に、良い案を出してくれた柳田には感謝しかないし、彼がいてくれて本当に良かったと思う。 「これから忙しくなると思いますが、私にできることがあれば何でも相談してください」 高田がやってきた翌日の開店前に、柳田が愛斗に声をかけてきた。 わだかまりも解けたことで、彼とは以前のように話ができるようになったのだ。 パリっとしたスーツ姿が、今日もとてもカッコいい。 でも内心は、映画を観に行った時のようなプライベートの格好もまた見たいとも思う。 これだから、いつまで経っても柳田から離れられない。 「ありがとう。でも、あんなことは言ったけどさ、俺にできるかな。高級なメニュー考えるなんて」 高田には大きなことを言ったものの、愛斗には不安もあった。 普段からカジュアル寄りの料理を主に作ってきたのは事実だから。 「シェフならできますよ。私は信じてますから」 柳田の言葉が、愛斗の心に深く染み込んでいく。 たったこの一言でも、自信を持たせてくれる。 やはり自分には、この常に冷静なマネージャーが必要だとつくづく思う。 そして愛斗は、ふとあることを思い出した。 そういえば前に、スーシェフの荒川に口論を聞かれたことがあったのだ。 大体のスタッフたちは高田が要求していることを知らないから、機会を作って伝える必要がある。 「本当にありがとう。そうだ。他のスタッフにも言わなきゃな」 愛斗が言うと、柳田もすぐに頷いた。 「そうですね。みんなは驚くでしょうが、休憩時間にでも説明すべきですね」 荒川以外の、他のスタッフは誰もコンセプト変更の件で騒いだりしていないので、荒川は秘密にしてくれているようだ。 口の固い、信頼できる男で良かったと愛斗は安心する。 「うん、分かった。ランチ営業が終わったら、賄い食べながら話そう」 本来なら話だけに集中するべきかもしれないが、敢えてカジュアルな雰囲気の中で話し合いの場を持ちたかったのだ。 真面目な性格の柳田には反対されるかと思ったが、意外にも彼は頷いてくれた。 「では、そうしましょう。…ところで…」 柳田が言いにくそうにして言葉を止めた。 「どうした?」 「なぜ高田様に、私の案だと正直に言ったんです?」 高級部門を作る案を高田に提案した時に、柳田が考えたものだとそのまま伝えたことを愛斗は思い出した。 「あぁ、あれは…別に意味はないさ。お前の案だからそう言っただけだ」 愛斗の言葉を聞くと、柳田の口元が少し緩んだ。 「あなたの、こういうところが好きです」 「…は!?」 唐突に柳田の口から出た言葉に、愛斗は一瞬何が起きたのか分からなくなった。 「あぁ、いえ…何でもないですよ。気にしないでください」 すぐに表情を改めた柳田は、それだけ言い残してその場から去ってしまった。 『な、何なんだ…一体…』 彼の言葉に、特別な意味などないはずだ。 勘違いなどするな…。 バクバクと早打ちする心臓を落ち着かせながら、愛斗は自分に言い聞かせた。 そう、柳田はただ愛斗の気質を気に入っていると言っているだけなのだから…。 ****************************************** 少し長くなりましたが、読んでいただきありがとうございましたm(__)m 柳田が「こういうところが好き」と言い出しましたね(@_@) 愛斗を動揺させる柳田ですが、一体どう思っているのでしょうか!?

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