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第29話
柳田から「あなたの、こういうところが好き」と言われ動揺する愛斗、まだ問題が残っていて!?
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その日の休憩時間に、スタッフ皆を集めて客席を使い話し合いの場を持つことになった。
客席を二つ繋げて、厨房スタッフたちが並んで座る。
そしてその向かいにフロアスタッフと柳田が座り、トップである愛斗はテーブルの端に陣取った。
高田からの要求を知らないスタッフたちは、一様に緊張した面持ちでありその場の空気もピンと張り詰めている。
するとその空気に割って入るように、厨房の新入りである近藤が口を開いた。
「あのー、一体どうしたんですか?何かあったんですか?」
「スポンサーサイドから、店のコンセプトを変更して欲しいとの要請があった」
愛斗が告げると、普段はクールで寡黙な厨房スタッフの磯崎が聞いてきた。
「コンセプト変更?具体的には?」
「この店を、高級志向のメニューに変えて欲しいってさ」
そう愛斗が言うと、スタッフたちが驚きの声をあげた。
「え!?」
「何で俺たちには言ってくれなかったんですか!?」
近藤に言われるのは最もだ。
本来であれば、決断する前に皆を集めて会議を開くべきだろう。
「動揺させたくなかったんだ…。まだはっきり決まってなかったからな。昨日決まったばかりだし、決まってから言おうと思ったんだ」
「シェフたちが何か話してるとは思ってましたけど…そういうことだったんですか…」
高田が来訪し客席で話し合いをしている際に、大方のスタッフたちはバックヤードにいた。
だからあまり気付かれにくかったはずだが、分かる者もいたようだ。
「それで、どういう結論になったんですか?」
すると、成り行きを見守っていたスーシェフの荒川が口を開いた。
「俺の料理自体や、これまでのお客たちは残したいと思ってる。だから新たに、高級向けのシートとメニューを用意するつもりだ」
「あの…俺たちは…」
近藤は当然ながら、自分のこれからの処遇が気になるようだ。
他のスタッフたちも、不安そうな顔をしている。
「大丈夫だよ。皆にはそのまま働いてもらうようにするから」
「それなら助かりますけど…」
「厨房スタッフは、新たなメニューが増えるから大変だけど、頼むよ」
愛斗は、メニューが増えることで、スタッフも増員することも説明した。
高田も、新たにスタッフを採用することは了承している。
「あとスポンサーには、皆に話してみてOKであれば進めるって言ってあるから」
愛斗の言葉に、スタッフたちは顔を見合わせる。
この場で初めて聞かされた彼らは、大いに戸惑っているのだろう。
そこへ、それまで静観していた柳田が口を開いた。
「どうでしょう、皆さん。了承してもらえますか」
こう言われては、スタッフたちとしても頷くしかないと思われる。
皆が頷いたのを見て、愛斗はこう口にした。
「皆、前もって知らせずに悪かったと思ってる。分かってもらえて助かるよ。忙しくなるけど、これからもどうかよろしく頼むな」
皆がいなければ店は成り立たないのだから、結束することが大事だ。
スタッフを代表するように、荒川が頭を下げる。
「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。俺は、どこまでもシェフについていきますから」
彼の言葉に、他のスタッフたちもうんうん、と頷いたのである。
その様子を見て、愛斗は心底ホッとした。
高田から要請があった時点で皆に知らせるべきだったが、それでも納得してくれた皆に感謝の気持ちでいっぱいになったのだ。
それからの愛斗は普段の営業に加えて、高級メニューの考案やVIP用シートに使う座席やレイアウトの考案で忙殺される日々が続いた。
代替案はこちらから出したものだったが、実現するのはなかなかに難しいものだと愛斗は実感した。
メニューについては、荒川など他のスタッフたちと案を出し合って開発していく。
営業中はもちろんメニュー開発は無理であるため、休憩時間や閉店後に行うことになる。
多忙を極め、皆が疲弊していくのが愛斗にも分かった。
スポンサーが突如として要求してきたことに、どうしてこんな苦労を強いられるのだろうと愛斗も思わなくもない。
けれどスポンサーあっての店舗だし、文句を言える立場でもないだろう。
スポンサーの要求に従うべきだが、愛斗たちの案を先方が酌んでくれたのだから、それだけでも有難いと思うべきか。
新たなスタッフの雇用については、マネージャーである柳田に主に担ってもらう。
また柳田には、内装変更のレイアウトや椅子の注文なども並行して任せた。
柳田自身も、当然とばかりに「分かっています。任せてください」と言ってくれたのだ。
愛斗は内心で、大変ではあるが店舗のリニューアルを楽しみにしていた。
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読んでいただきありがとうございましたm(__)m
コンセプト変更の件も方針が決まり、リニューアルに向けて動き出しましたね。
さて、このまま上手く事は運ぶのでしょうか!?
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