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第40話
柳田と恋人同士になれてウキウキ?の愛斗ですが…??
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それからというもの、愛斗の心はウキウキして仕方がなかった。
仕事中に柳田の顔が見えただけでもにやけてしまうし、想いが通じた日を思い出してもにやけが止まらない。
はっきり言って、長年の想いが実ったことで浮かれていたのだ。
別に仕事に支障をきたしてはいないが、心は軽い。
柳田と付き合いだしてから一週間経ったある日、愛斗は営業後に一人でメニューの試作をしていた。
誰も既に残っていないと思っていたのだが、不意に声をかけられた。
「あれ?シェフ、まだいたんですか?」
「何だ、まだいたのか。新メニューをそろそろ考えようかと思ってさ」
声をかけてきたのは、愛斗も信頼を置くスーシェフの荒川である。
「さすが、シェフは熱心ですね。ところで…最近なにか良いことでもありました?」
そう問われて、愛斗は持っていた調理器具を落としそうになる。
「え!?」
「いや、最近幸せそうな雰囲気だから」
「そ、そうか?み、店が順調だから幸せなのは幸せだよ!」
「ふ~ん…。あぁ、そうだ。マネージャーとシェフって何かあるんですか?」
「え!?何かって何のことだよ…」
愛斗はあからさまに動揺した。
「……言っときますけど、バレてますよ?」
「だから、何がだよ」
「お二人、付き合ってます?」
「え、い、いや…それは…」
何と答えればいいのか分からない。
柳田には関係を秘密にしようと言ってあるし、安易には口にできない。
彼に助けを求めたいような気もしたが、柳田は今はバックヤードにいるだろう。
愛斗の沈黙が肯定を示してしまっていることは彼自身にも分かるが、冷や汗をかく思いがする。
あっさり白状したら楽だが、こんな時の切り抜け方を愛斗は知らない。
「やっぱりそうなんですね」
荒川が腑に落ちたように頷く。
「い、いや、ちが…」
焦りつつ否定しようとしたが、荒川に手で制された。
「その否定はかえって怪しいですよ?前々から、お二人は意識し合ってたじゃないですか」
「え…何でそう思うんだ?」
「ん~…俺がゲイだからですかね」
「は?」
あまりに突然の告白に、愛斗は唖然としてしまう。
荒川とは何年も働いているが、プライベートの込み入った話はしたことがないからだ。
まさか、厨房での愛斗の右腕である荒川がゲイだというのか…。
「気付かなかったよ」
「こういう話は、したことがなかったですからね」
「そうだな…俺たちって、そんなに分かりやすかったか?」
そう尋ねると、荒川は笑顔を見せた。
「もう、みんな気付いてますよ?」
「え…!?嘘だろ…」
「正確には、"付き合ってる"とは断定してなかったですけど」
では、どうだというのだろうか。
愛斗は不審になる。
「『あの二人、絶対そうだよな』って」
「隠せてたと思ってたのに…」
もう皆にバレてるなんて、最悪だ…そう感じた愛斗は肩を落とした。
「だってシェフ、ずっと前からマネージャーのこと目で追ってたじゃないですか」
「そうだっけか…」
見られていないようでいて、見られているものらしい。
「それに、前に一度”雄志”って呼んだことありましたよね?気付いてません?」
三日前につい柳田のことを名前で呼んでしまい、慌てて「マネージャー」と言い直したことがあった。
後になってから、柳田本人にも「名前で呼ばないでください」とお叱りを受けたことを思い出す。
しかも名前で呼んだ場面を荒川に見られていたのは失態だった。
「あー…あれ、見られてたのか」
「えぇ。それに、これだけじゃないですよ?」
まだあるのか…と愛斗は思った。
「なんだよ…」
「おとといだったか、お二人が手を繋いで駐車場に向かうのを近藤が見たって言ってたんです」
近藤は新入りの厨房スタッフで、お調子者だ。
皆、帰ってしまっていたとあの時は思っていたのに…。
だから、暗がりだし手を繋いだのだ。
まさか見られていたとは思いもしなかった。
愛斗が唖然としていたら、誰かが入ってきて声をかけられた。
「何してるんですか?」
声の主は柳田だった。
彼の方に目を向けると、少し不機嫌そうになったのが分かった。
「い、いや…新しいレシピを考えてたんだよ」
「二人で?」
柳田は暗に「二人でなにやってるんだ」と言っているようだ。
すると状況を察した荒川は「それじゃ、俺は帰ります」と言ってその場を去ったのである。
「スーシェフと二人で何を?」
柳田と二人きりになると、彼が間合いを詰めながら問う。
「何もしてないよ。話してただけ」
「へぇ?どんな話をしていたのでしょうか?」
「別に…ただの雑談だって」
「だから…どんな雑談を…?」
柳田の顔が、今にもキスをしてしまいそうなほどに近付いた。
どうしてここまで執拗に聞いてくるのか、愛斗は参ってしまいそうになる。
『こいつって、こんなヤツだったのか!?』
愛斗は何とか後ずさりをして間を取ろうとしたが、もう後ろに下がる余裕はない。
追い込まれた彼は、柳田の胸に両手を添えて押し返そうとした。
「俺たちの関係が、バレてたんだよ…」
観念した愛斗がしぶしぶ告げると、柳田は動きを止めて目を見張った。
「バレていた!?」
どうやら、柳田も思いもよらなかったようだ。
「あぁ。荒川が言ってたけど、店の皆にも気付かれてたらしい」
このことに柳田も衝撃を受けたらしく、焦った表情をしている。
「…そんなに分かりやすかったでしょうか…気を付けていたんですが、ずっと…」
「それは俺だって同じさ。まぁ、バレちまったものは仕方ないか…」
柳田は「そうですね」と言いながら、そっと愛斗の右手を握った。
「変にからかったりしてくるスタッフたちではないでしょう。さぁ、今夜はうちに泊まりますか?シェフ?」
愛斗は考えるまでもなく無言で頷いたのである。
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読んでいただきありがとうございましたm(__)m
なんと!柳田との関係がスタッフたちにバレていた!?
驚いた2人ですが、これからどうなるか??
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