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2人の時間1
お店のチラシを配った翌日。今日もお店へ行く。もう少しでオープンだからイートインスペースの飾り付けを完成させなくちゃいけない。お店のSNSにはお店の外観はもちろん黒板メニューなどもアップしていて、どんなメニューがあるのかもわかるようにしてある。そのおかげか、お店のアカウントは少しずつフォローされていっている。あとはソヨンさんがどうしているか。ほんとは俺なんかが協力して貰うなんておかしいんだ。でもイジュンがいるから。イジュンの頼みならソヨンさんは嫌だとは言わないだろう。それが俺にとっていいことなのか、悪いことなのかはわからないけれど。
「明日海。なんかちょっと物足りない気がしない? 女の子っぽいとは思うんだけど、もっと女子っぽさを出したくない?」
「女子っぽさ……。んー」
テディベア飾って、ミニチュアハウス飾って、ドライフラワーも飾ってある。今はまだ貼ってないけどウォールステッカーだって貼る。他になにかあるだろうか?
「食べ物を扱うから香り系はダメだし……」
「写真を飾るのどう?」
「写真? なんの写真?」
「んー。お店の名前がhanairoだし、春っぽいものが良くないか?」
単純な連想ゲームだった。でも、可愛いフォトスタンドに飾れば、いいアクセントになると思った。
「桜! お店のロゴが桜だし、写真飾るなら桜がいいでしょ」
「桜か。お店に飾れるようなのないから撮りに行くか?」
ちょうどいいことに今はソウルは桜の季節だ。桜の写真を撮るにはもってこいだ。そう思っているとイジュンがいいのがあると言う。
「軍隊入る前に|鎮海《チネ》に行ったんだ。韓国では有名な桜まつりがあるんだけど、それに行ったときの写真をSNSにあげてあった気がする」
そう言ってイジュンはスマホからSNSにアクセスして写真を探している。
「あったあった! これなんかどう?」
イジュンが見せてくれたのは川の両脇が一面の桜並木になっている写真で、とても綺麗だった。これならお店に飾っても良さそうだ。
「これ、いいんじゃないか。プリントできるか?」
日本だと簡単にコンビニでプリントアウトできるけれど韓国ではできるのだろうか? そう思って訊いてみるとコンビニやマートでできると言う。
「インターネットに写真をアップして、印刷番号を取ればそれをコンビニの端末で印刷番号を入力すれば印刷できるよ」
「どこのコンビニでもいいのか?」
「どこのっていうか大手なら。で、ラッキーなことに梨大にはそのコンビニがあるから、すぐに印刷できるよ」
「そうか。じゃあ昼を買いに行くついでにコンビニに寄ろうか。もうすぐ昼だろ」
「そうだね。お昼はコンビニ食よりキンパ屋さんのキンパが食べたい」
「大学の門の近くにあったよな」
「うん。ある。ちょうどコンビニも近いし、行こうか」
とコンビニに行き、写真をプリントアウトした。コンビニプリントとはいえ、もとが綺麗に撮れていたから綺麗だ。とそこで気付いた。フォトスタンドがない。なにか買って行かないと。
「フォトスタンドないから買っていかなきゃダメだな」
「そうだね。じゃあ梨大の通りに行こう。雑貨屋多いから」
とりあえずキンパ屋さんでキンパを買い、梨大の正門から続く通りへと出た。ここから地下鉄までの道は可愛いお店が密集していて、いつも女の子で賑わっている。俺達の店はこの通りから新村側に1本入ったところにある。
何店かでフォトスタンドを見てまわる。ここの通りのお店は先日チラシを置いて貰ったところだ。だからどのお店でも、「あら」と声をかけられる。
「可愛いフォトスタンドならこれはどう?」
ある1店で勧められたのは両脇に天使がいるスタンドだった。写真の下は雲みたいになっていて可愛い。
「これ、いいんじゃないか?」
「うん、いいと思う」
2人で即決だった。
「じゃあこれにしよう」
「じゃあ包むわね」
そう言ってお姉さんは手早く包んでくれて袋に入れてくれる。
「ありがとうね」
「いいのよ。オープンもうすぐよね。食べに行くから」
「待ってるね」
このお店のお姉さんは俺が韓国語がよくわからないのを知っていて、英語で話してくれるから会話に置いてけぼりをくうことがなくて好きだ。このフォトスタンドを見に来てくれるといいな。そう思ってお店を出た。
そして自分たちの店に戻り、すぐに写真を入れて飾ってみた。
「うん。いいんじゃない? 春っぽい」
「ウォールステッカーが桜だし、一気にお店が春っぽくなるな」
「女子ウケするんじゃないかな? このフォトスタンドも写真撮ってSNSに上げておこう」
そう言ってイジュンは桜の写真を入れたフォトスタンドを写真に撮り、お店のSNSにアップした。お店のアカウントには少しずつ写真がアップされ、フォロワーさんも増えていく。お店も少しずつ形になっていっている。
「もうこれでウォールステッカー貼れば完成じゃない?」
「そうだな。お店のオープンまで間に合ったな。2日余った」
「じゃあ休んでおこう。オープンしたら忙しいから」
「そうだな」
オープンまで後少し。俺達はドキドキとしていた。
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