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第10話

カーテンの隙間から差し込んだ日差しで陽助は目が覚めた。 横を見ると、綾人はまだぐっすり眠っている。 (…止められんかった) 永遠の命を持つ自分は、いつだって大事な人たちに置いていかれる側だ。 苦しい思いはもうしたくない。 それならば、永遠の時を、ひとりで生きて行こうと決心していたのに。 「抗えんかったなぁ」 眠る綾人の髪を撫でながら一人呟く。 綾人と出会ってから、陽助の決心など、あまりにも容易く打ち砕かれていた。 「綾人、お前は何でそんなに俺の心の奥の奥にまで入って来るんや」 綾人の頬を突くと、一瞬眉を寄せたものの、眠りからは覚めることはなかった。 そんな姿を見つめながら、陽助は綾人との出会いを思い出していた。 初めはいつも通り妖退治をしていただけだった。 邪気を抜くため、口移しで力を与えはしたが。 (……今考えたら、やっぱおかしかったやんな) 普通の人間なら死ぬレベルの邪気に毒されてなお生きていたこと。 綾人の血を見た妖の異様な反応。 一度は違和感を覚えたものの、それ以上考えないようにしていた。 しかしその後、綾人が神榊さんの秘術すら効かない体質だとわかり、それらがあまりにも厄養の特徴に当てはまりすぎていることに気づいてしまった。 (最初は……厄養だから、気になってしもてるんやと思っとった) ふと、自らの手で守りきれなかった、数十年前の元恋人の顔が脳裏をよぎる。 (…でも、そんなことなんて考えなくなるくらい、いつの間にか、惹かれとった) 昨日、綾人が目の前からいなくなり、必死に探し回っているとき、生きている心地がしなかった。 あんなに妖を寄せ付けやすいのに、一人になったりしたらどうなるか。 最悪の事態も想定してしまったその瞬間____仕舞い込んでいた綾人への感情を、はっきりと自覚してしまった。 (…綾人、お前は何が何でも守り抜く) ………………例え、厄養が人間からどんな扱いをされたとしても。

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