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第11話
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サトは、部活以外でもクラスで絵を描いている。
友達は少ない。
人の喜怒哀楽が見えるのは、疲れる。
態度や顔つきが平静を装っていても、色で見えてしまう。
だから、いつも適当に話を合わせて、あとは絵を描いている。
亮太は同じクラスで話しかけてくれるが、ほんの一言二言。つるむ友達が違う。
これで良いと思う。
僕たちが幼馴染で家が隣同士。だから帰りが一緒になったり、夕飯を食べたりという話は、知っている人はいるけれど、クラスメイトの女子は露骨に嫌な顔をする。
いわゆる妬みというやつだ。
僕の見た目が良いとか、頭が良いとか、運動部のエースであれば、納得がいくのだろうか。
こんなダサい奴が、亮太の隣にいて仲良くしていることは、特に女子にとっては異様な光景に見えるのかもしれない。
いつものように休み時間に絵を描いていた。
肖像画を描くと、決まって女子から気持ち悪いと陰口を叩かれる。
別に、アンタらを描いているわけじゃない。
と何度、心の中でボヤいたか。
サトが描いているのは、体育館でスピーチする先生の姿とそれを聞く生徒や、校庭で体育の授業を受ける生徒達の姿だ。ある程度、頭に記憶しておいたものを風景画のように描いている。
空間の奥行や陰影を表現することを意識して鉛筆をすべらせる。
そこへ京香が現れた。
「サトくん、あら? 練習なんて良い心掛けね」
声の主に顔を上げて、頷く。
「明日の部活だけどさ、隣の公園でスケッチするからね」
「わざわざ、言いに来てくれたんですか? 部長から連絡きてましたよ」
「違うわよ。祥さんが食堂へ行くのを見かけたから追いかけて、たまたまキミのクラスの前を通っただけよ」
周りで、ひそひそと陰口を叩く女子を見据えてさらに続ける。
「私もサトくんも美しい人しか描かないわよ。だから安心しなさい」
京香はそう言い捨てて、手の甲をひらひらさせながら、教室を出て行ってしまった。
教室にいる女子が目くじらを立てて騒いでいる。
京香が出て行ったドアを見つめて、サトは大きなため息をついた。
(全く……自分はいいけど、僕を巻き込まないでほしい。まあ、確かに京香の言う通りなんだけど)
「あの先輩すごいな」
亮太が目を丸くして、サトに話しかける。
「じゃ、俺も美しいのかな。あ、それはキョウヤか」
周りには聞こえないくらいの音量で問われて、目を丸くする。
そんなサトの表情を見て、フッと口元を緩ませた亮太は、いつもの友達に食堂へ誘われて教室の外へ出て行った。
キョウヤじゃない。亮太を描いているんだ。
言葉にしたい……でも、それはできない。
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