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第16話 醜い色
新学期が始まった。
部活動や、バケーションで日焼けした生徒達は、それぞれ日焼け自慢をしたりして教室は賑やかだ。
一方、新学期が始まった。テストだ。と項垂れる姿もある。
サトはいつもと変わらずに新学期を迎えていた。
少し変わったといえば、亮太と目が合うことが多くなったような気がしていた。
見られている。
いや、僕が見ているからか。
変な期待を胸の奥にしまう。
この土日は、高校サッカー選手権予選の第一試合だ。
クラスの女子たちが、亮太に話しかけている。
「見に行くね」
「亮太くんを見に行くんじゃないよ。先輩よ」
「試合でる?」
女子だけでなく、男子からも囲まれている亮太をこっそり見る。
「好きな人って見ちゃうよね」
そんな言葉が耳に入ってきて、びっくりする。
別の席で恋バナをしていた女子の会話だった。
「見てるつもりなかったんだけど、目で追っちゃってさ」
「ああ、同じ塾の?」
「そうそう、夏季講習、ずっと一緒だったから、見てたみたい。無意識で」
「好きってバレた?」
「見てるよね。気持ち悪いんだけどって言われたー」
キャーと盛り上がっている。
無意識で……。
気持ち悪い……。
そうだよな。気持ち悪いよな。
僕が見てるから、目が合ってるだけ。そう。それだけ。
日曜日。
サトは、スケッチブックを持って、サッカー予選の第1回戦試合会場にいた。
人が多い場所は苦手だ。
特に、闘争心に沸き立っている人達は、色が濃くなって怖い。
赤、青、黒のような濃い色が、混ざり合う。
そこにはないはずの炎があがって見えた。
(ちょっと、近寄るのはやめておこう)
遠くなってしまうが、少し離れたところから、観戦することにした。
ここならスケッチも出来る。
亮太は出場しなかったが、アップしたり、応援したりとベンチにいる姿は、緊張感と相まって全て勇ましく見えた。
単純に目が釘付けになるくらい、かっこ良かった。
第1回戦試合は勝利した。
見に来て欲しい。描いて欲しいと言った亮太の言葉を真に受けて大丈夫だったかなと不安になったが、それはすぐ解消された。
スマホにメッセージがきていた。
『見に来てたよな? 出られなかったけど、次も見に来てよ』
『あと、俺のこと描いた? 絵、見せてな』
何度も読み直す。
『絵、描いたよ。次も絶対見に行くよ』
それだけ返して、ベッドに転がり込んだ。
目を瞑って、今日の亮太を思い浮かべてから眠りについた。
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