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第18話
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美術部では、そろそろ市主催の美術展覧会に向けて動き始める。
個人でテーマを持って、応募するのだ。
絵、彫刻、陶芸。
それらが全て展覧される。
学校だけでなく、企業も参加する大きなイベントで、応募された制作物は、有名な評論家やプロからの視点で評価される。
そして、優秀な評価がついた作品は、市内のあるゆる場所に展示される。
大きな芸術のイベントになっている。
「テーマ、タイトル決めたら、紙に書いて出してくれ」
部長が一人一人に用紙を配って歩く。
あれから、サトは空っぽになっていた。
しばらく絵を描いていない。
亮太の絵を描いていると、涙が溢れてくるからだ。
「サトくん、大丈夫? 最近、絵描いてる?」
京香が心配して声をかけてくれる。
「ああ、はい」
描いていない。
何を描いたらいいかわからない。
京香が、校庭に行こうと誘ってくれた。
外でスケッチすれば、何か描きたいものがでてくると言われて。
練習をしている亮太を見つける。気付いた亮太が軽く手をふってくれた。
きらきらとした彼の笑顔に胸がときめく。
でも、苦しい。
ふと、校庭の外を見ると、あの女子高の彼女がサッカー部の練習を見ていた。
他校だから校内には入れない。だから、外から見ている。健気に見ている姿に苦しくなる。
彼女なんだ。
付き合っている。
僕なんかがかなうわけないだろう。
見ていたいけど、見られない。
見つめられたいと思うのは、好きな人にだけだから。
「京香先輩、ありがとう。僕、部室で描きます」
そう言うと、サトは校舎の中に入って行った。
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