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第24話 君に見て欲しい

「頼む。お願い。一生のお願い。あれ、あれ、俺が買ってあげるから。ね、お願い」  さっきからしつこく亮太に頭を下げているのは、同じサッカー部の一年生の田中一生だ。 「わかったよ。お前が買わなくていいよ。自分で買うし」 「いや、俺に出させてくれ」  今度は、亮太の手を握り、放してくれない。 「ああ、もう、わかった。わかったから放せ」 「ありがとう。じゃ、日程決まったら連絡するわ」  ようやく、亮太の手を放した、田中は小躍りしながらグラウンドに走って行った。  ふぅっと一息ついて、部室でジャージを脱ぎ、靴を履き替える。  田中も一年生で選手に選ばれた一人だ。  これからサッカー選手権の予選が始まるから、練習がキツくなるのに、余裕だよな。    田中に頭を下げられたのは、彼女と初デートに付き合ってくれという頼まれごとだった。  一週間ほど前に、サッカー部の先輩からカラオケに誘われたときだ。  偶然、先輩と同じ中学だったという近くの女子高に通っている女生徒がカラオケ店の受付のバイトをしていた。  田中が、その彼女に一目ぼれしてしまったらしい。  先輩に頼み込んで、なんとか連絡先をゲットできたと言っていた。  ほんと、すごいよな。  夏休みなんてずっと練習なのに、デートのことを考えられる余裕があるなんてな。  でも、それが力になるなら、良いことなのか。  俺も、サトと今度また出掛ける約束したし。  あ、でもユニフォームのレプリカ田中が買ってくれるのか。  どうするかな。  今度、出掛ける誘い文句がない。  絵具、そうか、高くて買ってあげられなかった絵具を今度買うか!  いや、なんかそれって援助交際のオヤジみたいだな。  言い訳……そんなものなくても誘ったら一緒に出掛けてくれるよな。    ――だって、サトは俺のことが好きなはずだから。  

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