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第26話

 夏休み。  サッカー部の練習は一日休み。  田中と亮太は、駅前の本屋で人を待っていた。 「待ち合わせ時間て何時だっけ?」  寒すぎる店内の漫画コーナーで、緊張した面持ちの田中がうろうろと歩き回っている。 「12時」  スマホの時計を見ながら、店内に入ってくる音がするたびに、入り口に視線を投げて、うろうろしている。 「立ち読みでもして、落ち着けよ。 あと10分もあるし」  目の前にある漫画を亮太は田中に手渡す。  アニメ化されている人気のある漫画だが、パラパラとめくるだけで全く読んでいない。 (ま、そりゃそうか。初デートだもんな。緊張もするか)  入り口ばかり気にしている田中を横目に、自分が田中の立場だったらと考える。  デート。  サトと出掛ける約束をした時は、とても緊張をした。 『なんで画材店?』なんて質問されて焦ったけど。  本当は、一緒に出掛けたかった。  ただそれだけ。  あとは、自分に興味を持っているのか知りたかった。  サトの肌は相変わらず白くて、強い日差しに具合が悪くなるんじゃないかと心配だった。  中学生の時、めちゃくちゃ日焼けしたサトが痛そうだったからだ。  

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