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第29話

 *****    新学期が始まった。  日焼けした、髪を染めたという、見た目の変化がある生徒。  どこかしら大人びた雰囲気を醸し出す生徒。  まだ気持ちは夏休み中というくらいに、始業式の教室はザワザワしている。  亮太は、この週末にあるサッカー選手権予選会のことで頭がいっぱいだった。  あとは……。  サトのこと。  隣に住んでいるが、高校に上がってから一緒に登校したことがない。  部活の朝練があるから時間が合わないのもあるが、どこか避けられているようにも感じていた。  中学生の時も、一緒に登校したことは数回。  サトが同じ高校に進学するとは思わなかった。  亮太は、なるべく公立高校が良いと母から言われていたのもあって、サッカー部がある近くの高校と決めていた。  サトは、美術部の有名な私立に行くのだと思っていた。  絵画教室の先生も通っていた学校だと、パンフレットが家に置いてあったのを見ていたからだ。  春休みに、同じ学校だと聞かされた時は、驚いた。  でも、今ならわかる。  サトは俺が好きだから。  教室にいるサトを見てしまう。  目が合った。  すぐに視線を外される。  でも、また目が合った。  そして外す。  ――もっと見て欲しい。俺だけを見て欲しい。

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