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第30話

   高校サッカー選手権地区予選大会は、決勝ブロックまで毎週試合がある。  9月に入った最初の日曜日。  サッカー予選の1回戦試合。  9月といってもまだまだ茹だるような暑さだ。  汗をぬぐい、空を仰いだ。  サッカーは、小学生からやってるし、試合だって初めてじゃない。  それなのに、テレビで見ていた高校サッカーの試合が目の前で行われることに興奮していた。  試合が行われる隣のグラウンドで、アップする。  部員の掛け声も、いつもの練習とは少し違うように感じた。  皆んな、気合いが入っている。  メンバーに選ばれるかもしれない。いや一年生は、無理か。  という期待と諦めを繰り返す。  試合時間が近づき、試合会場に向かった。  応援席の学校の連中がいるところから離れたところにサトの姿を見つけた。   「今日さ、ゆきちゃん来られないんだって……」  亮太の横に座った田中が大きなため息をついた。 「でも、次の試合は来られるっていうから、絶対、今日勝ちたいんだよな」 「出られるかわからないけどな……」 「それな」  二人で、グラウンドにいる先輩たちを応援する。  そりゃ、ベンチで応援している姿より、試合に出ている姿を見られたい。  欲を言えば、活躍している姿を見て欲しい。  サトが見てくれている。  それが、大きなエネルギーになっていた。    サトからの『次も絶対見に行くよ』というメールには心が躍っていた。  

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