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第32話
順調にサッカー選手権の予選を勝ち進めている。
次のブロック決勝に応援へ行こうという生徒会や先生からの声で、学校中は盛り上がっていた。
これに勝ったら決勝トーナメントに進める。
いつも以上に練習にも気合が入っていた。
田中は、校外から見ている彼女の視線を気にして、よく走りこんでいた。
俺も負けじと走る。
監督の目に留まるように声を出して練習をした。
ふと目の端にサトの姿を見たような気がしたが、居なくなっていた。
第2回戦を終えた後から、なにか様子がおかしいと思っていた。
話しかけても、手を振っても、心ここにあらずといった感じ。
しばらくして、熱で寝込んでいると知った。
部活終わりに、コンビニに寄る。
サトが好きなプリンを買った。
サトの家に寄って、おばさんにプリンを渡す。
「来てくれてありがとうね。ノックしたんだけど寝てたみたいで。でも、もう起きていると思うのよね。声かけてあげて」
そう言われて、サトの部屋に声をかけた。
薄暗い部屋の中で、絵を描いていたのか……。鉛筆を持ったまま出てきたサトは、視線を落としたまま俺と目を合わせてくれなかった。
「亮太、サッカーユニフォームのレプリカは、買った?」
突然問われた、鋭く刺すような瞳に気圧されてしまった。
買ってもらったなんて恥ずかしくて言えなかったのと、それを買うために誘うといった約束が守れなかった後ろめたさもあった。
(なんで、今こんな質問してきたんだろう)
視線を合わせようとしたが、サトはまた下を向いて見てくれなくなった。
――試合も見に行かない。
まさか、そんなことを言われると思わなかった。目の前が真っ暗になった。
熱のせいだよな。具合がわるいからだよな。
そう自分自身に言い聞かせていた。
ブロック決勝の日。
自分の高校は、前半で失点した。
流石に疲れがでてきたのか、全体的に動きも鈍かった。
前半終わりに、さらに失点。
後半には、選手を入れ替えたが、得点するまでには至らなかった。
後半途中で、亮太と田中が出場した。
敵高校も同じスケジュールで試合しているのだ。疲れが出ているのは当然だったが、この高校の選手は2年と3年で固められていた。
経験値の差。最後の試合だという意気込みで、のまれてしまった。
相手チームとボールを取り合う接戦となった時に、足首を蹴られ、転んだ。
相手チームのファールとなったが、亮太はそのまま動くのが無理で、交代となった。
そのまま点を返せることなく、試合は幕を閉じた。
悔しかった。
試合に負けたこと。最後まで出られなかったこと。ケガをしたこと。
だけど、その姿をサトが見ていなかったことが唯一の救いのように感じた。
情けない。
かっこいい姿を見せたいという意地っ張りな自分は相変わらずで呆れた。
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