36 / 46
第36話
俺は、サトのことをどれだけ知っているのだろう。わかった気になっているだけ。
最近、彼の目が、寂し気で、空っぽという感じがする……そんな瞳には俺は見えていないのかもしれないと思うと、それが怖くてしょうがない。
……実際、今彼がなにを考えているのかわからない。
……それなら、聞かないと。話を聞かないと。
「ゆきちゃん、ありがとう」
亮太がお礼を言うと、「へ? なにが?」と首をかしげている。
お待たせーと手をふりながら、田中が戻ってくる。
「そういえば、私、栗ご飯作り方しらないんだよね……どうしよ」
田中に手を振りながらゆきちゃんが呟いた。
「じゃ、レシピ教えるよ」
「マジで!」
サトのお母さんは、毎年、旬のものを作ってくれる。
確か去年、栗ご飯を皆で食べた。
美味しかったな。
今度、家へ行ったとき、おばさんに聞いてみよう。
そして、俺の気持ちを伝えて、サトの話を聞こう。
サトのおばさんが、栗ご飯を作るからと誘ってくれた。
久しぶりにサトの家に来た。
久しぶりに話した。
良かった。普通に話せてる。
そうだよな。別に喧嘩したわけじゃないのに、なんでこんなになってしまったんだっけ……。
でも相変わらず、サトは視線を合わせてくれない。
リビングのテーブルに置いてあった、ローカル新聞に載っていた、サトの『空っぽ』という絵と喜んでいる記事を読んで、酷くイライラしてしまった。
――この絵は好きじゃない。
たしか、そんな風に言ってしまった気がする。
サトは、それから一言も発さず、俺のことも見なかった。
気持ちを伝えて、話しを聞こう。なんて息巻いていたのに……。
あの絵を見ると、心が揺れる。嫌なことを思い出させる。
ともだちにシェアしよう!

