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第36話

 俺は、サトのことをどれだけ知っているのだろう。わかった気になっているだけ。  最近、彼の目が、寂し気で、空っぽという感じがする……そんな瞳には俺は見えていないのかもしれないと思うと、それが怖くてしょうがない。  ……実際、今彼がなにを考えているのかわからない。  ……それなら、聞かないと。話を聞かないと。 「ゆきちゃん、ありがとう」  亮太がお礼を言うと、「へ? なにが?」と首をかしげている。  お待たせーと手をふりながら、田中が戻ってくる。 「そういえば、私、栗ご飯作り方しらないんだよね……どうしよ」  田中に手を振りながらゆきちゃんが呟いた。 「じゃ、レシピ教えるよ」 「マジで!」  サトのお母さんは、毎年、旬のものを作ってくれる。  確か去年、栗ご飯を皆で食べた。  美味しかったな。  今度、家へ行ったとき、おばさんに聞いてみよう。  そして、俺の気持ちを伝えて、サトの話を聞こう。    サトのおばさんが、栗ご飯を作るからと誘ってくれた。  久しぶりにサトの家に来た。  久しぶりに話した。  良かった。普通に話せてる。  そうだよな。別に喧嘩したわけじゃないのに、なんでこんなになってしまったんだっけ……。  でも相変わらず、サトは視線を合わせてくれない。    リビングのテーブルに置いてあった、ローカル新聞に載っていた、サトの『空っぽ』という絵と喜んでいる記事を読んで、酷くイライラしてしまった。  ――この絵は好きじゃない。  たしか、そんな風に言ってしまった気がする。  サトは、それから一言も発さず、俺のことも見なかった。  気持ちを伝えて、話しを聞こう。なんて息巻いていたのに……。  あの絵を見ると、心が揺れる。嫌なことを思い出させる。    

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