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第38話

 そんなことを思い出していると、席で一人待っていた5歳くらいの子の母親らしき人がきて、「もう体操クラブに文句いわなきゃ」とぶつぶつ文句を言って、一緒に帰って行った。 (母親というのも大変だよな)  そこからか、俺の母さんとサトの母親の仲が良くなったのは。  連絡取り合って、協力しあっているようだった。  そして、段々、一緒にいる時間が増えて、兄弟みたいになった。  すぐ横にいるのが当たり前の近い存在。    サトが絵画教室に通い始めたから、俺も行きたくなった。  それで、一緒に通っていた。  でも、本当は絵が好きなわけじゃなかった。  ただ一緒にいると楽しかっただけ。  絵は描くというよりも、サトの邪魔をしていた気がする。  ちょっかい出して、困った顔をしても、必ず俺の言う事を聞いてくれた。  それに、サトはよく他の生徒からもいじられていた。  クレパスで描かれた絵は、物や植物は同じなのに、人だけは俺たちには見えない色がついていた。  『なんでこんな色つけてんだよ』『何を描いてんだ?』  と言いたい放題だ。  サトが泣きそうな顔をする。たまらず亮太が言い放つ。  『うるせえよ。自分の絵はどうなんだよ。見せてみろよ』  喧嘩に発展する前に先生が宥めるなんてことは、よくあった。  サトが何も言わないから、俺が文句を言う役目みたいな感じになってた。  でも、威勢よく文句を言い放ったあと、また責められて、そのあとはよく泣いた。  それをサトが『ありがとう』と言って慰めてくれる。  

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