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第43話

   部活帰り、いつもの三人で画材店に行く。京香は絵具を見に、俺と部長は、実用書コーナーで横並びに絵画名画の本を見ていた。 「俺さ、水墨画に興味あるんだよ。今度、顧問に言ってみようかと思ってさ」  部長が、水墨画のページを見せて言ってくる。 「いいですね」 「いろんなものにチャレンジして、結果、好きなものを続けていきたいからな」  ――好きなものを描き続ける。欲しいものを思い続ける。  小百合先生の言葉を思い出していた。 「部長は、失恋てしたことありますか?」  突然の質問に、一瞬驚いた表情をしていたが、絵具コーナーをチラリと見てから小声で教えてくれた。 「失恋もなにも、告白すらしたことない。だけど、何も言えてないのに失恋したような気分になっている」 「……」  「もしかして、平、失恋したのか?」 「僕も告白したことないです……」  そう、告白すらしていない。というか、告白うんぬんじゃない。  でも失恋した。  テレビとかでよく表現するぽっかりと胸に穴があいたような感覚というのは、あながち間違っていないもんだと思った。  そして、少しづつこの痛みに慣れてきている。 (……きっと、また絵が描ける)  

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