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第44話

 画材店前で、二人と別れて、駅前に向かって歩き出す。  亮太と行ったスポーツ用品店前を通りすぎようとしたとき、店の自動ドアが開いて出てきた人とぶつかりそうになった。 「すみません」  お互いの声が重なった。  亮太と同じサッカー部の人と、亮太の彼女だった。  サトは固まって動けない。 「あ、平だ。亮太の友達だよゆきちゃん」  田中がゆきちゃんを見て言う。  二人は手をつないでいた。 (なんで? 亮太の彼女なのに……) 「ああ、よく亮太が話している子? こんにちは」  屈託のない笑顔を向けられて戸惑ってしまった。 「ちは」小さく呟く。  二人のつないだ手からピンクの淡い色が混じり合っていた。  ……なんで。 「亮太が、自分の絵を描いてくれて、絵が上手でって話してる子よね」  ゆきちゃんのカバンにぶら下がっているクマのキーホルダーを凝視する。  それを見止めて、「一生、彼に買ってもらったの」と言った。  田中は、照れている。それを軽く一瞥して続けた。 「この人ね、亮太にデートを付き合ってもらったのよ。最初のデート。で、そのお礼に亮太にはユニフォーム買ってあげたみたい」 「レプリカだよ」  田中はずっとデレデレしている。 「ふ、二人って……恋人同士なんですか?」  ようやく出た言葉に、田中とゆきちゃんは顔を赤くしていた。 「恋人って……なんか恥ずかしい……でも、うん。付き合ってるよ」  二人ともモジモジしていた。    ――僕の勘違いだったのか。    安堵感で心の中が少し温かくなった。  それでも、亮太にはいつか彼女ができる。  僕は、それを近くで見ていかなければならない。幼馴染だから。  今回のことで、ある程度の覚悟ができた。  亮太に本当の彼女ができても、僕は笑っていられる。  たぶん……。  

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