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第49話
夕飯を食べた後、サトは亮太の部屋に来ていた。
告白されて、二人きりになるのは初めてで、ドキドキする。
リビングには、亮太のお母さんもいるし、そんな大胆なことはしないだろうと思っていた。
でも部屋に入るなり、サトを抱きしめてきた。
少し力が強くて、驚く。
「りょ、りょうちゃん、痛い……」
その言葉に腕を解いた、ムクれた顔をした亮太と目が合う。
「嫉妬した……」
「え?」
「川端と仲良く笑ってただろ」
「あ……」
今までかっこいいばかりだった好きな人が、可愛いと思えたのは、これが初めてだった。
「りょうちゃん、可愛いね」
「……りょ・う・た・だよ」
サトの頬を両手でムニムニして、唇を寄せてくる。
「おばさんいるんだよね」というサトの問いに動きが止まる。
その間近に寄せられた悩む顔が可愛くて、思わずサトから唇を寄せた。
触れるだけのキス。
亮太から小さなため息が漏れた。
「ごめん、りょうちゃん」
「いや、俺こそ、がっついた」
目を合わせ笑い合う。
「サトに見せたいものがあるんだ」
亮太は、そう言って、絵画教室で描いたサトの肖像画をみせた。
「覚えてる? 絵画教室止める日にサトを描いた」
その肖像画を持ったまま、「うん、覚えてる」と呟く。
「これは俺」
そう言って、絵を見たまま亮太が続けた。
「嫉妬してたんだ。サトに……。」
――上手に描けない。かっこ悪い。誰にも見られたくない。そんな気持ちで描いた――。
独白している横顔を見つめる。
光っている彼の色が濁ったり、黒くなったり、濃くなったり、変化していた。
寂しい、悲しい、怖い、恥ずかしい。そんな感情なのかと思った。
自分が、いつも心のどこかで思っていた感情。
亮太も自分と同じような感情を抱いていた。
「サトの絵、好きだからな。絶対描けるようになるよ」
そう言って見つめる瞳に吸い込まれた。
――いつか、描ける。
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