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第50話

 それから数日経って、小百合先生から連絡があった。  日曜日の子供絵画教室の日に手伝ってほしいというものだった。  子供教室の日は、手伝いをする先生がもう一人いるのだが、風邪で来られなくなったということだった。  絵画教室に着くと、自分達がいつも使っている椅子やテーブルではなく、子供用の小さな椅子とテーブルを用意する。  なんだか、懐かしい。  自分も小さい頃は、これを使っていた。  亮太と向かい合って、絵を描いていたころを思い出す。 「先生、こんにちはー」と大きな声で入ってきた生徒が、サトを見て固まる。  その後、来た子供たちも、同じように固まるので笑ってしまった。  サトの笑顔に安心した生徒が、「先生?」と聞くものだから、自分も固まってしまった。 「臨時のサト先生です。よろしくお願いします」  小百合がそう言うと、皆で声を合わせて「よろしくお願いします」と挨拶する。  先生の説明もそこそこに聞いて、皆はスケッチブックを出したり、クレパスを用意する。  家で描いてきたよという絵を先生に見せたり、友達に見せたり。おしゃべりが尽きない。  そうだ、子供教室は、こんな感じだった。  楽しかった。  自然と笑顔がこぼれた。 「今日は、お兄さんの絵を描いてもらいます」  そう小百合は言うと、サトを見る。  え? 僕? と戸惑ったのは一瞬で、次の瞬間ドアから、ユニフォーム姿で、サッカーボールを持っている亮太が入ってきた。  日本代表ユニフォームのレプリカに身を包んでいる。  子供たちは、「かっこいいー」「え? 本物?」「違うよ」と大騒ぎだ。  亮太は、得意げにポーズを決めて、挨拶をした。 「こんにちは。今日は、モデルをします。皆、かっこよく描いてください」  思わず吹き出してしまった。  そう、一緒に通っていた頃、いつも僕の前でかっこつけていた亮太のままだったから。 「そこ、笑ってないで。席に着きなさい。君も描くんだよ」  サトを指さして言った後、笑顔で見つめる。  周りでは、子供たちが「サト先生も描こうー」と騒いでいる。  教室全体に色がちりばめられた。  子供たちから出る色が、楽しさと興奮で鮮やかに広がっている。  綺麗だ。    

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