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第2話 決まらない縁談

十五を過ぎれば、貴族ならば誰もが婚約者の決まる年頃である。 しかし、この国で最も有望な結婚相手であるはずの私は、なぜか婚約相手が決まらなかった。 というのも私の場合、話が纏まりそうになる直前になぜか、相手や相手の家門に不幸が訪れ破談となってしまうのだ。 そんなことが三回、五回、と繰り返された結果、どんな女性も私を忌避するようになってしまった。 そんな中、勇気ある立候補者が現れた。 まさかの、アダルバードである。 この国は同性婚も認められるが、当然ながら子はなせない。 傍系であればいくらでも後継者を望めるものの、アダルバードと結婚すれば王族直系の血は途絶えてしまう。 そして私と婚約をすれば、大事な親友で、かつ王子でもあるアダルバードに不幸が訪れてしまうかもしれないのだ。 王家にとっては、どちらも一大事で、許容できない事態である。 アダルバードの求婚に反対しているであろう王家からの圧力や脅迫もあり、多少なりとも身の危険を感じた私は結局、両親から、特に母から王子からの求婚を断るなんて愚かだ、と非難されながらもその話を断ることにした。 「エリファレオ様。こんな家や国なんて捨てて、一緒に逃げましょう。僕と結婚してください」 求婚を断っても私を諦めることはない、と言い張るアダルバードの扱いに困っていた時、手を差しのべてくれたのはジェレミーだった。 私はその言葉にとんでもない、と首を横に振る。 「お前は義母弟だ。この国の法律では養子ならまだしも、血の繋がった近親者での結婚は認められてはいない」 「ええ、わかっています。しかし僕たちは、書面上は赤の他人です。僕は公爵様が善意で面倒を見ている、単なる使用人の息子ですから」 しかし私とジェレミーが一緒に逃げたら、今度は公爵家の血筋が途絶えてしまうのだ。 「ジェレミー、お前だけは駄目だ。私がこのまま誰とも縁を結べず子を望めなかった時は、父にお前を実子として認めてもらう。私の代わりに直系の血筋を守ってもらわなければならないからな」 「僕が大切なのは、家でも血筋でもなく、エリファレオ様です」 可愛い弟はそんなことを口にして、私を喜ばせた。 「ジェレミーの気持ちは嬉しいよ、ありがとう。しかし、公爵家に生まれたからには王族を……アダルバード王子を守っていく義務があるからね」 「やはりエリファレオ様は、アダルバード王子が好きなのですね」 「何を言うんだ。私は王子もお前も、みんな好きだよ」 その時ぐっと固く握られたジェレミーの拳の意味を、私はもっと深く受け止めるべきだった。

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