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第3話 後悔
「エリファレオ様、大変です!」
ある日呼ばれた先へ駆け付けると、アダルバードとジェレミーが決闘の末、双方相討ちで倒れているところだった。
場所はアカデミー内で由緒ある、古代の闘技場。
想いの強さが戦士に力を与えた奇跡の場所であると、いくつもの文献に書かれていた場所である。
そんな場所で二人は、辛うじて息はあるものの今すぐに治療を施さないと死んでしまう状態にあった。
「なぜ、こんなことを……!」
決闘をすること自体は禁止されていない。
しかし、見届け人の前で急所への寸止めが一般的なやり方で、暗黙のルールでもあった。
「お二人とも、エリファレオ様が求婚に応じないのは、お互いがいるからだと思い込まれたようで……!」
どうやら二人は、アダルバードはジェレミーのせいで、ジェレミーはアダルバードのせいで、私が求婚に応じないという誤解をしたらしい。
「私のせいで……?」
見届け人だったらしいその生徒は目の前の惨状にパニックになり、自分にも責任が降りかかると思ってどうしたらいいのかわからず、治癒士を呼ぶ前に私を探して回ったようだ。
「とにかく治癒のできる者を呼んで来てくれ!」
私は苦手な治癒魔法を掛けながら自らの膨大な魔力を注ぎ込んで、彼らの回復を心から祈った。
どちらも助けたい。
しかし、アダルバードが死んだり後遺症が残ったりすれば、ジェレミーは確実に極刑だろう。
いや、王族と決闘をした時点で、罪に問われてしまうかもしれない。
ジェレミーは温厚で諍いが嫌いな性格だから、きっとアダルバードから言い出したに違いないのに。
駄目だ、と思った。
このまま治療を施すだけだと、どちらにせよジェレミーの身が危うくなる。
もしこのまま私が結婚できなければ、公爵家の血を守ることができるのはジェレミーしかいないのに。
全身全霊で魔力を注ぎながら、夢中で考えた。
何が、いけなかったのだろう。
どちらかの求婚を、受けていればよかったのだろうか。
相手にとっての「善い人」になろうとして、「好い人」になってしまった。
こんな結末になるのならば、最初から無理をして「善い人」になんて、ならなければ良かった。
私が、アダルバードと仲良くならなければ。
私が、ジェレミーに優しくしていなければ。
こんなことには、ならなかったのかもしれない。
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