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第4話 失った魔力と回帰

「エリファレオ、起きたのね!」 目を覚ますと、私の黄金と呼ばれていた金髪は真っ白く変化し、膨大にあった魔力はその全てが失われていた。 そして時間は、私が八歳になる直前にまで遡っていた。 「ああ、良かった……」 安堵する私とは対照的に、私が魔力を失ったという事実を知った母は、半狂乱になった。 「私の大切なエリファレオが! 国中の医師や術師を呼びなさい、なんとしてもこの子の魔力を取り戻させるのよ!」 母の言う通りにたくさんの医師や術師が公爵家に招待されたが、誰一人として、私の失った魔力を戻せる者はいなかった。 当然だ、と私は他人事のように思う。 恐らく私の魔力は、時間を遡るのに、使われたのだろうから。 自分に時間逆行の能力はないから、きっとあの場所が鍵だったのだ。 アカデミー内の、古代の闘技場。 想いの強さが戦士に力を与えた場所であると、いくつもの文献に書かれていた場所。 あの場所でなければきっと、時間を遡ることはできなかった。 最初は嘆いていた母が、苛々することが多くなり、やがて溜まった鬱憤を晴らすように、私に暴言と暴力を浴びせるようになった。 なるほど、と私は理解する。 母が愛していたのは、「公爵家にとって恥じない魔力を秘めた息子」であり、魔力を持たない息子はなんの価値もないのだ。 そしてそれは父も同じで、魔力を失った息子に一切の期待を寄せなくなった。 魔力があるかないかだけで、私という人間は、変わっていないにもかかわらず。 魔力を取り戻すことのない私が公爵家で腫れ物扱いされるようになった頃、ジェレミーが公爵家に引き取られることになった。 私は、母に進言した。 「お母様、ジェレミーを上手に使って下さい。彼には、王子と同じくらいの魔力があるはずです。血の繋がらない彼を可愛がれば、きっとジェレミーもお父様も、お母様に感謝するはずです」 回帰前の私の魔力が膨大すぎただけで、ジェレミーも王子も、貴族から尊敬されるレベルの魔力量がある。 母は悩んだようだが、私の魔力の回復を試みた最後の術師が匙を投げたところで、諦めがついたようだ。 ジェレミーは回帰前とは違い、義弟として公爵家に引き取られ、私の代わりに跡取り息子として育てられるようになった。

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