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第6話 別の道へ
貴族で魔術具を専攻する学生は珍しく、周りはかなり扱いに困るようだったが私は気にしなかった。
八方美人はやめ、自分が楽しいと思える相手としか関わらないことにした。
そして今、急務で開発に力を注がれている魔術具は、同性でも子を授かるようになる、画期的な魔術具だ。
同性の結婚を認めるこの国では、確かに需要のある魔術具であろう。
一つあたりの値ははるものの、貴族を中心にそれでも欲しいと考える者たちが投資することで、資金繰りに困ることなく順調にその開発は進んだ。
そして、次々と発生する様々な課題に同じ専攻の仲間たちと頭を悩ませながら日々取り組んで、ようやくそれが実用化するにまで至った。
「ルシアナ、やりましたね! やっと成功しました」
「エリファレオがあの不具合の原因に気づいたお陰ですよ。流石です!」
今までなかったものを生み出すことは想像以上に面白い。
二人との関わりを絶ったことですっぽり抜けた心の隙間を埋めるべく、私は魔術具制作の魅力に夢中になった。
***
このまま平穏が続くと思われた頃、やはりその日は来てしまった。
私とアダルバードが仲良くなったきっかけとなった、彼が魔力を暴走させた日だ。
魔力持ちは、その感情をコントロールできないと、暴走することがある。
私も回帰前は特に大変で、暴走しそうになるとアカデミー内の「吸魔の部屋」にしょっちゅう入り浸っていた。
「吸魔の部屋」は、その名の通り魔力を吸い込む部屋だ。
ただし、暴走していない魔力持ちが部屋に入ると、所持している魔力量そのものが減ってしまうため、入室には注意が必要だった。
アダルバードが暴走した時、周りには魔力持ちしかいなかった。
王家に恩を売るいい機会だというのに誰もが部屋に入りたがらず、結局私が王子を担いで一緒に部屋に入ったのだ。
そしてこのことをきっかけに、私はアダルバードに心を許してもらえるようになった。
アダルバードが暴走した時期は、彼の政略結婚が勝手に進められた時期と記憶にあった。
暴走したから、結局破談になったのだ。
時期がわかっていたため、私はアダルバードの周りに魔力を持たない平民を見学と称して、わざと配置していた。
しかしいざアダルバードが暴走した時、彼に触れることを許されたのは、平民ではなく貴族の私だけだった。
仕方なく今回も、暴走するアダルバードを担いで、吸魔の部屋へ急ぐ。
以前は彼が目を覚ますまで一緒にいたが、今回はさっさと部屋を出ることにした。
この後血を吐くだろうから、アダルバードの服が汚れないようにタオルを敷いて。
「人を呼んでまいりますね」
体内で暴れる魔力を抑えることに苦しんでいるアダルバードを放置するのは心苦しかったが、私は二人の未来のために、アダルバードの縋るように掴む手を振り払った。
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