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第7話 決まった縁談

「私の結婚が決まったのですか?」 「ああ。条件は、向こうへの婿入りだ。公爵家はジェレミーが継ぐから、心配しなくてよい。お前の魔術具の制作を続けたいという希望も認めてくださっていて、それ専用の部屋を用意してもらえるそうだ」 「魔力なしの私にとって、これ以上ない好条件ですね」 魔力なしのために十五になっても縁談がまとまることのなかった私に、アカデミー卒業間近でようやく良縁が舞い込んだ。 求婚してきた相手がアダルバードではないかと一瞬構えたが、遡れば王家とも公爵家とも遠縁のある、遠方の貴族女性の名前で、ホッとする。 「お前は昔から、本当に手間のかからない、良い息子だった。首都から遠くて多少不便かもしれないが、元気でやりなさい」 「……ありがとうございます」 「悪いが、結婚式は執り行わない。卒業後に準備が整ったら、あちらへ向かいなさい」 「はい、わかりました」 魔力だけで優劣を競うこの国では、魔力なしの子どもは平気で捨てたり、魔力さえあれば平民でも養子にするような貴族が多い。 魔力なしになった私を捨てることをせずにいてくれただけで、貴族としては優しい父親だったのかもしれない。 回帰前には全く縁のなかったことだが、回帰後にアカデミーで受けた差別で、そう気づけるようになった。 そして私は卒業後、誰に挨拶をするでもなく、そっと公爵家を後にした。 「お久しぶりです、エリファレオ様。ようこそいらっしゃいました」 「久しぶりだね、ルシアナ。今日からよろしくお願いします」 私の結婚相手は、魔術具専攻の同級生だった。 彼女が貴族であると、その日まで知らなかった。 似たもの同士の彼女となら平和な家庭を築けそうだ、とホッとする。 私が微笑みかけると彼女はスッと視線を外しながら「どうぞ」と言って、用意していたお茶を私に振る舞う。 そして――。 目を覚ますと、私はベッドに横になっていた。

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