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第4話⭐︎

彼と言葉を交わすたびに、 いつの間にか彼が図書室に来るのを期待している自分に気づいた。 でも―― 僕は、ある日、見てしまった。 廊下を歩いていると、 彼がラグビー部の男子と一緒に歩いているのが目に入った。 二人は、楽しそうに笑い合っている。 その並んだ姿は とてもよく似合っているように思えた。 胸の奥がチクリと痛む。 その瞬間―― すべてが繋がった気がした。 彼が、わざわざ図書室まで足を運んでいた理由。 窓際に座って、外を眺めていた理由。 あの、嬉しそうな笑顔。 ――彼が好きな人は、あの人だ。 僕は、ただ図書室で一時 軽く言葉を交わすだけの関係。 それ以上でも、 それ以下でもない。 そう思うと 自分だけ勝手に浮かれていることが、 ひどく滑稽に思えた。 だから―― これ以上、好きにならないようにしよう。 気持ちを抑えるんだ。 これ以上好きになったら、 きっと苦しくなる。 * * * それでも。 彼と過ごす時間は、 やっぱり心地よかった。 ある日のこと。 図書室で作業をしていた僕は、 ふと机の方を見る。 彼が、無防備に眠っていた。 古い旧校舎の、人目につかない場所にある図書室。 その日は、僕たち以外にまだ誰もいなかった。 彼は机に片肘をつき頬を預けて、 静かに瞼を閉じている。 部活に、生徒会に、勉強。 彼の毎日は多忙だ。 いつも周囲から注目を浴びる彼は、 僕より遥かに大変に違いない。 窓から差し込む柔らかな光が、 彼の姿を照らし出している。 端正な顔立ち。 動かない彼は、 まるで一枚の絵画のようだった。 それにしても 「どうして 寝顔までこんなに綺麗なんだ?」 思わず、 手が伸びた。 指先で、 艶のある黒髪をそっと撫でる。 その瞬間。 ぐいっ。 突然、腕を引かれた。 「え――」 身体が、 一気に彼のほうへ引き寄せられる。 目の前に、 彼の顔があった。 近い。 さっきまで眠っていたはずの瞳が、 いたずらっぽく僕を見つめている。 「……起きてたの?」 僕がそう呟いた瞬間―― そっと。 首筋に、 柔らかな唇が触れた。 「……っ!」 頭の中が、真っ白になる。 「な、何するんだよ!?」 慌てて声を上げる僕を見て、 彼は、ふっと愛嬌のある笑みを浮かべた。 「仕返し」 それだけ言うと、 僕の反応を楽しみながら、 涼しげな足取りで、その場を去っていった。 「…………」 僕は、 その場に立ち尽くした。 静まり返った図書室。 なのに―― 胸の鼓動だけが、 うるさいほど響いている。 僕は胸元をぎゅっと押さえた。 彼は、なぜあんな風にからかったんだろう。 ただの悪戯? それともーー 自分の気持ちを悟られていないか、 不安になった。

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