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◾️第4章 受験生なのに、恋が楽しい

夏期講習が始まり、俺の日常は一気に透との接触が増えた。 蒸し暑い午後、魔力実技の特別講習室。 汗でシャツが肌に張り付く中、透が背後から俺の指導に入る。 「姿勢を正せ。魔力の流れが乱れている」 低い声が耳元で響いた瞬間、俺のうなじが熱く疼いた。 まだ触れられていないのに、体が勝手に反応する。 「……先生、暑いです」 「我慢しろ。汗ごと魔力をコントロールする練習だ」 透の声だけで、下腹の奥がじんわりと甘く溶け始める。 汗の匂いが混じった室内で、透の清潔なのに甘い香りが、俺の脳を優しく犯す。 背後指導が始まった。 透がほとんど密着する形で俺の背後に立ち、両手で俺の肩を軽く押さえる。 「っ……」 息が漏れた。 触れられているのは肩だけなのに、魔力が透の指先から流れ込み、俺の体内をゆっくりと這う。 「感じるだろ? ここから魔力を流す」 指が肩からうなじへ滑り、軽く押し込まれる。 「あ……んっ……先生、そこ……」 声が甘く掠れる。 透の息がうなじにかかるたび、腰の奥がとろとろに蕩けていく感覚に襲われる。 「反応が素直すぎる。受験生のくせに、こんなに欲を顔に出して」 「……先生に褒めてもらいたいんです。……もっと、褒めてください」 俺は意地になって、挑発的に言った。 透は小さく鼻で笑う。 「褒める前に、我慢を覚えろ」 魔力の流れが一気に強くなり、俺の内側をねっとりと刺激した直後―― 「我慢しろ」 ぴたりと抑え込まれる。 「んあっ……! あ……っ、はぁ……んん……!」 体がびくびくと震え、蜜穴のように敏感になった内側が、満たされない熱でぎゅうぎゅうと締め付ける。 触れられていない下半身が痛いほど硬く、蜜を垂らしながら疼いているのが自分でもわかった。 「先生……っ、ずるい……」 「ずるいのはお前だ。声が淫らすぎる」 冷たい言葉責めが、逆に俺の興奮を煽る。 **** 講習の合間、仁が俺に近づいてきた。 「晴、国立魔法省、受けるって本気で決めたぞ。お前はどうするんだ?」 仁の目は真っ直ぐで、健気だった。 俺は少し目を逸らした。 「……俺は、魔法ギルドでいいかな」 「そうか……」 仁はそれ以上追及せず、静かに微笑んだ。 その笑顔を見ていると、透の前で乱れる自分とのギャップに、胸が少し痛んだ。 **** 夜、寮の部屋。 俺はベッドに倒れ込み、今日の透の声を思い出していた。 「……先生の声だけで、こんなに……」 ズボンを下ろし、熱く疼くものに触れる。 背後から密着された感覚、うなじに吹きかけられた息、言葉責め――すべてを反芻しながら、手の動きを激しくする。 「あ……っ、ん……先生、もっと……触れてないのに、俺、壊れそう……」 腰を浮かせ、透の「我慢しろ」という命令を思い浮かべながら、限界まで追い込む。 「はぁ……っ、ああ……先生の、俺を……専用に、して……っ」 絶頂の瞬間、俺は荒い息を吐きながら天井を見つめた。 (触れてないのに……先生に支配されてる) その自覚が、怖いほど心地よかった。 **** 翌日のペア練習。 「今日は透先生と組みたい」 俺は迷わず手を挙げた。 他の生徒たちがざわつく中、透が俺をじっと見つめてくる。 「七瀬。……お前は本当に、欲がストレートだな」 「先生のそばにいたいだけです」 透は小さくため息をつきながらも、俺を自分のペアに指定した。 練習中も、透の視線や短い指示だけで体が反応する。 触れられていない時間の方が、苦しく耐えられない。 休憩中、透が水を飲む姿を横目で見ながら、俺は心の中で呟いた。 (触れたい……先生の肌に、直接触れたい) その欲求を自覚した瞬間、うなじから甘く濃い魔力が漏れ出した。 **** 講習最終日の夜、透が俺を軽く呼び止めた。 俺のだだ漏れの欲求を見かねたらしい。 「七瀬。まだ早い」 短い言葉。 それだけで、俺の胸がざわついた。 「……わかってます。でも、先生」 俺はまっすぐ透を見つめた。 「俺、先生のこと、好きです。本気で」 透は眼鏡の奥で目を細め、静かに答えた。 「まだ早いと言ったはずだ」 冷たい返事。 なのに、その一言が俺の執着をさらに深く刻み込む。 **** その夜、俺は再び桜の下を歩いていた。 生い茂った葉が、夜風に揺れる。 俺は静かに笑った。 (受験生なのに……恋が、こんなに楽しいなんて) 触れてないのに支配されるこの感覚。 「我慢しろ」という言葉が、俺の体と心を完全に支配し始めていた。 心地よくてふわふわする。 もう、戻れない。 俺はそれを、甘い恐怖とともに受け入れていた。

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