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◾️第5章 熱病と未遂の共鳴

「先生、熱があるって本当ですか?」 俺は、教員寮の透の私室のドアをノックした。 夏期講習の疲れからか、透が珍しく体調を崩したという噂を聞き、押しかけてしまった。 ドアが開き、透が少し乱れた様子で立っていた。 頰がわずかに紅く、眼鏡の奥の瞳がいつもより熱を帯びている。 その弱った色気が、俺の胸を強く締め付けた。 「……七瀬か。勝手に入ってくるな」 声は低いままなのに、いつもより甘く掠れている。 それだけで、俺のうなじから甘い魔力が漏れ出した。 「先生、顔赤い……触れていいですか? 魔力で、少しでも安定させます」 俺は一歩踏み込み、透のうなじに指を伸ばした。 許可を待たずに、軽く触れる。 「っ……」 透の体が小さく震えた。 その反応に、俺の支配欲が疼く。 「先生……今、弱ってるんでしょう? 俺に、任せてください」 透は小さく息を吐き、俺を部屋の中に引き入れた。 「なら、指導だ。……深く、丁寧に流し込んでみろ」 ベッドの端に腰掛けた透の背後に回り、俺は両手で彼のうなじを包み込んだ。 魔力をゆっくり流し込む。 いつもとは逆の立場なのに、透の体内に俺の魔力が染み込んでいく感覚が、たまらなく興奮した。 「ん……七瀬の魔力、熱いな……」 透の声が甘く漏れる。 俺は大胆に指を這わせ、うなじの敏感な窪みをねっとりと撫で回した。 「先生……ここ、感じる? もっと奥まで、俺の魔力を……」 「ふっ……生意気な。……だが、悪くない」 透の魔力が俺の指先に絡みつき、共鳴し始める。 二人の魔力が混ざり合い、甘い熱が全身を駆け巡る。 俺は我慢できなくなり、透の耳元で囁いた。 「先生……触れていいですか? もっと、深く」 透の瞳が細くなる。 次の瞬間、彼は素早く体勢を入れ替え、俺をベッドに押し倒した。 「今は許さない」 低い、ドSの声。 透の指が俺のうなじに深く沈み、魔力を一気に流し込んでくる。 「あっ……! んあぁ……っ!」 内側を這うような熱い魔力が、ねっとりと敏感な箇所をえぐる。 とろとろに蕩ける蜜穴のような感覚が、腰の奥まで広がっていく。 「先生……っ、熱い……奥まで、来てる……はぁっ、あん……!」 「感じてる顔が淫らだぞ、七瀬。欲をこんなに剥き出しにして……本当に制御を学んでいるのか?」 透の指が巧みに動き、俺の魔力を限界まで高めながら、絶妙なところで刺激を強める。 言葉責めが耳に直接響き、頭が真っ白になる。 「もう……無理……先生、壊れちゃう……っ」 「まだだ。我慢しろ」 魔力の流れが深く、丁寧に、しかし執拗に俺の内側を掻き回す。 寸止めギリギリまで追い上げられ、蜜が溢れ、腰が勝手にくねる。 「んっ……あぁっ! 先生の魔力で……とろとろに、されてる……お願い、入れて……っ」 俺は初めて、はっきり「入れて」と懇願した。 体が熱病のように火照り、理性が溶けていく。 透の目が、わずかに獣のように光った。 指の動きがさらに激しくなり、俺を壊れる直前まで追い詰める。 「っ……あっ、あんんっ! いきそう……先生、壊して……!」 その瞬間、透の指がぴたりと止まった。 「今は許さないと言ったはずだ」 魔力が一気に抑え込まれ、限界寸前で快感が遮断される。 「んああぁっ……! やぁ……っ、んんん……!」 体が激しく痙攣し、蜜穴が空しく締め付ける。 満たされない熱が全身を苛み、俺はベッドのシーツを握りしめて喘いだ。 「先生……っ、ひどい……こんなに、壊れかけてるのに……」 透は俺の乱れた顔を冷たく見下ろし、言葉を浴びせる。 「可愛い顔で懇願するな。まだお前は生徒だ。欲を爆発させるんじゃない」 完全に未遂のまま放置され、俺は息も絶え絶えに体を震わせた。 壊れる寸前で止められた地獄。 体が疼き、頭の中が透のことでいっぱいになる。 **** その夜、俺は耐えきれず仁の部屋へ向かった。 「仁……ちょっと、いいか」 仁は俺を迎え入れた。 そして、優しく慰めてくれる。 友情同士の交わり。 仁の温もりに包まれながら、俺は感情を吐き出した。 「……先生が、欲しくて……」 でも、仁の優しさでは満たされない。 体は反応しても、心の奥の疼きは透の名前を呼んでいた。 「晴……俺じゃ、ダメか?」 仁の声が少し震える。 俺は答えられず、ただ目を閉じた。 **** 次の日の指導。 俺は透の前に再び座った。 胸の奥の苛立ちを抑えきれない。 「先生……俺が帰った後、うなじへ魔力治療されたと聞きました。どなたです? 俺以外で先生とそんな事をされる方って……」 透の指が、わずかに強くなった。 「関係ないだろ」 「関係あります。先生の全部、俺が欲しいんです。誰も割り込ませない」 透は静かに笑い、俺のうなじを深く掴んだ。 「全部欲しい、か。……欲張りな生徒だ」 再び魔力が流れ込み、俺を限界近くまで追い上げる。 でも、また寸止め。 「はぁ……っ、先生のすべてが、欲しい……っ」 壊れる寸前で止められるたび、俺の中で「透じゃないとダメ」という思いが、確実に根を張っていった。 **** 夜、欲求を処理しても満たされない体を抱き、俺は独り呟いた。 「……いっそ、先生に、全部壊してほしい」 その願いは、まだ無自覚なまま、静かに胸の奥で育ち始めていた。

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