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人間たるもの、そうそう簡単に変わるものではない。そんな当たり前の事実をしかと実感する羽目になったのは、今からおよそ二週間ほど前のことだった。
USB紛失騒動を機に少しは反省したかと思われた結月だが、それから一日、二日と日を追うごとに部屋はまた着々と散らかってゆき、一週間も経った頃にはすっかり元のジャングル状態に。これには、さすがの晃大も頭を抱えた。
このままじゃいけない――。そう強く思ったのは、ほかでもない結月のためだった。
我ながら、傲慢な発想で笑えてくる。誰かのため、だなんて、自分はいつからそんな殊勝な人間になったのだろう。
とはいえ、このまま結月の散らかし癖を看過したのでは、いつまた大事なものをなくしたと騒ぎ出すやわからない。前回はたまたま鞄の中に入っていたからよかったものの、四次元ポケットでもなし、毎度そう都合よくお目当てのものが出てくると思ったら大間違いだ。
社会人になってもこれなら、それこそ大問題である。仕事で使う資料やら、大事なデータの紛失など、取り返しのつかない失敗だってしかねない。彼女と同棲なんてしようものなら、一ヶ月もせず荷物をまとめて逃げられるだろう。
本来、こういう基礎的な生活能力は実家にいるうちに養うべきものだけれど、残念ながら今、この驚異的なまでにだらしなく育った結月を指導して、正してくれる保護者はここにはいない。だったらもうなんとしてでも、こうして一緒に生活しているうちに、晃大が結月を矯正してやるほかなかった。
たった一回物をなくしたくらいで、人は変われない。しかし二年もあれば、習慣を変えることはできるはずだ。
自分一人では難しいかもしれない。だから、晃大は言ったのだった。
(おい、結月。今から部屋、一緒に片すぞ)
口で指示するだけでは、どうしたって説得力に欠けてしまう。自分がお手本となって一緒に片付けてあげることで、結月も少しはやる気が出るのではないかと思ったのだ。
結果として、その読みは当たっていた。一瞬、戸惑うような素振りを見せたものの、結月は素直に返事をして、晃大と一緒に部屋の片付けをするようになった。
使ったものは元の位置に戻す。ゴミはゴミ箱に捨てる。服は畳んで引き出しにしまうか、ハンガーに掛ける。もちろん、洗濯の必要があるものは洗濯機へ。都度意識していればそもそも部屋は散らからないのだが、いっぺんに全てを改善しろと言われても難しいだろう。
片付けては散らかり、散らかっては片付けて。そんなことを、四、五日置きに繰り返しているのが現状だった。
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