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「なあ晃大ー。なんかおまえ、最近付き合い悪くね?」  大学終わり、このあとみんなで飲みに行こうと誘われたのに断りを入れるなり、同期生である昌暉(まさき)にそんなことを言われた。先日、カラオケに来ないかと誘ってきたのもこの男である。  「あー、そう? 悪い。あんま意識してなかったわ」 「そうだって。なに、彼女でも作ったん? おまえ、基本ヤッたら終わりだろ」  間違いではないが、やや語弊のある表現だった。面倒臭いので、あえてツッコみはしないけれど。 「んー、てか俺、最近倹約してんだよね。夕飯はなるべく寮のやつ食おっかなーって」 「倹約ぅ?」  訝しげに繰り返し、ぷはっと昌暉は吹き出した。 「バッカおまえ、似合わなすぎだろ。つか、いつからそんな真面目んなったんだよ」  からかうような口調に、輪にいた女子の一人――理沙がバシッと昌暉の肩を叩く。 「パチンコで金擦ってるあんたがなに言ってんの。いいじゃん、倹約。あたしも最近、自炊してるし――」  あ、そうだと、理沙はさっき昌暉の肩をしばいた手をもう片方の手とぴったり合わせて、瞳を輝かせた。 「だったら晃大、今度からあたしんちに晩ごはん食べにこない? 晃大の好きな料理、あたしが作ったげる」 「えー、マジ?」  晃大は意図して、期待するような声で訊き返す。 「マジマジ、超マジ」  食い気味に首を縦に振る理沙を、昌暉は白けた顔で見ていた。 「出たよ、理沙のド直球ラブコール。おまえ、マジで晃大のこと好きすぎんだろ」 「えー、だって晃大カッコいいし。背高いし。女心わかってるし。あんたみたいにタバコ吸わないし。パチンコしないし」  ぽわん、ぽわんとこちらにハートが飛んでくる一方で、昌暉のほうにはぐさ、ぐさと鋭い矢が放たれる。 「あーあ、結局女ってこれだもんな。こいつ、ワンナイト常習犯だぞ? どこが『女心わかってる』だよ。所詮顔だろ? 素直に言えって」  ねちねちと反撃した昌暉に、理沙は呆れたようにため息をついた。 「あんたそれ、あたしにも晃大にも失礼なんだけど。晃大みたいなイイ男は超絶レアなんだから、一人で数こなさなきゃならないのはある意味使命みたいなもんなのよ。……でもまあ確かに、わかってても独り占めしたいって思っちゃうのが女心ってものなのかもしれないけどね。ね? 晃大?」  上目遣いでこちらを見ながら、えいっと理沙が腕に抱きついてきた。Dカップはあろう豊満な胸を、押しつけるように当てられている。  理沙のアピールはド直球だが、仲間内の一人である彼女とは未だ一度も体を重ねたことはなかった。 「ありがと理沙ちゃん。……ま、言うほど俺も大した男じゃないんだけどね」 「俺『も』ってなんだよ! 俺『も』って! 俺が大した男じゃないのは前提みたいな言い方してんじゃねーよ、このっ!」  豊満なおっぱいに変わり、昌暉のゴツゴツした肘で小突かれる。 「だっておまえ、パチンカスじゃん」 「うるせーヤリチン」 「パチンカス」 「ヤリチン」  品のない人間同士、品のない言葉を浴びせ合う。無論、本気で怒ることもなければ、気を悪くすることもない。その場のノリに合わせて生きていれば、時間は波風立たず流れてゆく。

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