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 晃大は基本、仲間内と食って飲んですることが多いので、提供時間内に帰宅して食事することもなければ、取り置き申請もあまり活用していなかった。それがここ数日は、昌暉やその他諸々の誘いを振って、毎日のように結月と食堂で夕食を摂っている。  きっかけは、一緒にテニスに行った翌日のことだった。  月曜は唯一大学もバイトも休みで一日オフ。いつもなら外に出て適当に連れと遊び回るところだが、その日はなんとなく、部屋でダラダラとしていたい気分だった。  昼過ぎに起床し、ベッドでスマホをいじっていると、そのうち大学から結月が帰ってきた。基本部屋にいない晃大がいることに少し驚いた様子を見せつつも、結月もまた、ベッドに腰掛けてスマホゲームを始める。  お互いなんやかんやしているうちに夕方になって、ふと結月が立ち上がった。どっか行くのと尋ねると、食堂と返され、ああもうそんな時間かと思った。普段、寮で食事を摂ることが滅多にないため、そのあたりの感覚がすっぽりと抜け落ちていたのだ。  少し考えて、じゃあ俺も行くと晃大は立ち上がった。結月は少しびっくりしたように目を見開いていたが、その前日は昼食も夕食もともにしたのだし、そこまで突拍子のない発言でもないだろう。出発地も目的地も同じなら、わざわざタイミングをずらす理由も見当たらない。  二人で部屋を出て、食堂に向かう道すがら結月は妙にぎこちなかったけれど、食事を開始して数分も経った頃には、以前にも話題になったアニメの話で盛り上がっていた。  久しぶりに食べた寮の食事は思っていた数倍美味しくて、大勢で行くクラブや飲み屋のような騒がしさとも無縁だ。無論、普段は好きでそういう連中とつるんでいるわけだけれど、たまにはこういう落ち着いた空間で、派手じゃない相手と二人で食事を摂るのも悪くないなと素で思った。  なにより、結月は派手じゃないとはいえ、決して地味なわけでもない。話してみると、結構面白いやつだ。探し回っていたUSBが鞄の中から見つかったときにも思ったことだが、ちょっと天然なところもある。そういうところが、一緒にいて退屈しない。  最近は時間が合ったタイミングで例のテニスを題材としたアニメを一話から二人で鑑賞しており、今もまた、結月はその話題で盛り上がっている。ちなみに、そのアニメは二百話を優に超えているので、二人揃って最後まで見終えるのはいつになることやとらといった感じだ。おそらくは、そのうちなあなあになって自然消滅するに違いない。 「結月、次テニス行ったとき、あのワザ再現してみろよ。おまえならワンチャンできんじゃね?」 「む、無理に決まってるだろ! あれは人間業じゃない!」  それはそう、と晃大は笑って返す。  他愛ない会話。けれども、ほぼ脊髄反射のようにその場のノリで成り立つ昌暉たちとの会話とは、なにかが違う。一つ一つ、返ってくる結月の反応がひどく新鮮に映る。 「つか、次いつテニス行くよ。てかおまえ、マジで行く気ある?」 「そ、それは……」

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