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「晃大……早く……」
急かされ、はいはいと肩を竦めてローションを手に取った。そっと指先をあてがうと、ひくりと窄まりが反応する。
そのまま数回、指の腹で円を描くように表面をなぞりながら、晃大はふと違和感を覚えた。ほんのわずか力を込めただけで、指先がつぷりと中に呑み込まれる。
「あ……っ」
――やっぱり……。
「エヴァン、もしかして昨日もここ使った? なんか、いつもより柔らかいんだけど」
感触を確かめるように、数回、指で中を擦ってみる。まだ大して慣らしていないにもかかわらず、エヴァンのそこはすっかりそれに順応して形を変える。
「あっ、あ……っ」
難なく、二本目の指も入った。緩いわけじゃなくて、すでに誰かがほぐしたあとのように柔軟性に富んでいるのだ。
「この感じ、剱崎さんか。あの人、ちんこデカそうだもんな。ああ見えてめっちゃ前戯丁寧そうだし」
これだけ柔らかくなっているということは、それなりに大きなものを呑み込んでいたはずだ。そのうえ擦り傷の一つ見られないということは、相手はかなりの手練れであった可能性が高い。
「どう? 当たってる?」
問いながらも、絶え間なく指を動かしてローションを塗り込んでゆく。ほぐれているからといって、潤いは必要だ。
「どうでも、いい……っ。も、慣らさなくていいから、早く挿れて……っ」
「だーめ」
言って、晃大はぐっと粘膜の一点を指で押し上げた。
「んっ、ああっ」
「こんだけ丁寧に抱かれたあとのおまえ、傷一つでもつけたらあの人にシメられそうだし。時間制限ないってんなら、焦って挿れる必要もないだろ」
結月には、そんなにかからないと思うと言ったけれど。どうやら、今日は片付けもアニメも無理そうだ。
仕方ないだろう。あちらが先輩との予定を優先したように、こちらにも優先すべき状況というものがある。
「――なあ、エヴァン。マジで、最近なんかあったんじゃねえの?」
指を抜き差しするたびに鳴るクチュクチュと淫らな音に混じって、晃大はさり気なく、またその問いを投げる。
なにも、優先すべき状況とは、セックスのことを指しているわけではないのだ。結果的にセックスをする流れにはなったものの、ここに来た一番の目的は、エヴァンの様子を確認すること。
エヴァンと晃大の関係は、セフレでも、恋人でも、もっといえば友達とすら言い難い。しかしながら、単なる男娼と、その客かと問われれば、そこまで堕落した関係だとも晃大は思っていなかった。
結月と同じ、一つ年下の後輩。深入りするつもりはないにせよ、明らかに様子がおかしいとわかっていながら見て見ぬふりはできない。
「っ、ふ……っ」
短い声を漏らし、エヴァンが視線を逸らす。晃大の問いには、答える気がないようだ。委ねられた艶かしい肉体だけが、長い指に反応してピクピクと跳ねている。
「……挿れるから、後ろ向いて」
とんとんと、軽く太ももの付け根を叩いて晃大は促した。
実際のところ、晃大が好きなのは正常位。そのほうがキスがしやすいし、相手の反応もよくわかる。しかしなんとなく、今日に限ってはそうじゃないほうがいい気がした。
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