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シフトや付き合いの都合上、普段、晃大が帰宅する時間帯には大浴場は閉鎖されていることがほとんどだ。そうなると五階にあるジムと併設されたシャワールームで済ませるしかないのだが、ここ最近、月曜日に限っては晃大も大浴場を使用するようになっていた。
もともと月曜日は大学もバイトもないので、その気になれば早く帰宅することは可能だ。ただ、連れと遊ぶときは大抵日付を跨ぐうえ、女の子と会った日には朝帰りなんてこともザラにある。なんだかんだ大浴場には縁のない生活ばかり送っていたのだが、寮で夕食を摂るようになってそれも変わった。
正直、大浴場のためだけに早く帰宅しようとは思わない。ただ、ジュリオの作る飯はお世辞抜きで絶品で、それを逃すのは惜しかった。
取り置きもあるにはあるのだが、これといった事情もなく、何時に帰宅するかも未定のままその制度を利用するのは気持ち申し訳ない。そういう日はどちらかを諦めるしかないと思いつつ、なんだかんだ、早めに帰宅して寮で食事を摂ることが多くなった。
食事の提供時間に間に合うように帰宅すれば、おのずと大浴場の利用時間にも間に合うようになる。風呂にそこまでこだわりはないのだが、せっかくならということで、そういう日は大浴場を使うようになった。
服を脱ぎ、曇ったスライドドアを開くと、ぽつぽつと寮生の姿が目に入る。晃大は適当に空いている隅のバスチェアに腰掛け、シャワーの栓を捻った。
大理石でできた仕切り越し、なにやら親しげに会話する男の声が聞こえている。部屋に戻ったらゲームをしよう。負けたら今週のゴミ当番。会話からして、一緒に生活するルームメイトらしい。
二人で一緒にお風呂だなんて、ずいぶんと仲のよろしいこと。ここのところ、ろくに会話すらしていない晃大と結月とは大違いだ。
魁斗にはっきり『避けられている』と言われた日から、晃大も下手に結月と関わることをやめた。その少し前から食事は一人で摂るようになっていたし、部屋の片付けにしても、もう口を挟まないでおこうと思っている。
正直、自分のなにがそこまで結月の気に障ったのか、未だよく理解できていない。きっかけはほぼ間違いなくあのエヴァンを抱きに行った日なのだろうが、たかだかその一回を機に『もうおまえとは関わりません』なんて態度を示すのは、さすがに行きすぎではないだろうか。
交際している相手の不貞に腹を立てるならともかく、晃大と結月は単なるルームメイトだ。はっきりいって、そこまで気を悪くする意味がわからない。
それこそまさに『相容れぬ二人』たる所以と言われれば、話はそこまでだ。以前として、釈然としない気持ちは残ったままだが。
「……にしても、ようやく肩の荷が下りたわ」
大理石の仕切り越し、引き続き、男たちの会話する声が聞こえてくる。
「朔実のこと?」
耳を掠めた名に、ふっと意識がそちらに向いた。
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