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6-2
「鈴羽 ……?」
「え、知ってる子?」
きょとんとした顔で訊かれ、ああいや……と晃大は答え淀んだ。
なんと説明すべきか、無言で言葉を探していると、察したように華蓮が首を縦に振る。
「あ〜、なるほど。つまり、あの子がその」
「え? いや、そんなんじゃ――」
「じゃあ、ワンナイトってこと?」
「いや、それも違うけど……」
そもそも、どうして本命かワンナイトかの二択なのか。
要領を得ない返事をする晃大に、華蓮はやれやれと肩を竦める。
「いーから、早く助けに行ってやんなさいよ。あの子、店入ってきたときからずっとあんたのことチラチラ見てたし」
「え、マジ?」
「マージ」
しっしと手で晃大を振り払い、華蓮は短いスカートを翻してカウンターの方へと去ってしまった。もう一度振り返ったとき、細い腕を掴んで引っ張ろうとする男の姿が目に入り、晃大はすぐさまそちらへと駆けつける。
「すみませーん。そちらのお客様、少し気分が悪そうなので確認いいですか?」
「ああ? またおまえかよ、クソだりぃな」
それはこっちの台詞だよ、クソダサ赤ジャージおやじ――。
と、抱いた感情はあくまでも胸の内で留めておく。以前にもカウンターでしつこく女の子に絡んでいた男だ。こういうのは病気みたいなものだから、一度や二度注意したからといって、そう簡単には治らない。
「お客様、よろしければ奥の休憩室をお貸しいたしますが……」
ひとまず男の存在は無視して、絡まれていた女性へと問いかける。目が合っておずおずと頷き返されて、インカム越しに女性スタッフを呼んだ。案内を任せ、ふたたび男と対峙する。
不満げにこちらを睨みつける男へとすっと微笑んで、晃大は言った。
「出禁です」
「は?」
「以前にも警告いたしましたので。どうぞ、速やかにご退場ください。次回からの入店は固くお断りさせていただきます」
「ふざっけん――」
振り上げられた手首を掴み、晃大は笑顔のままぐっと男に顔を寄せた。
「ほかのお客様にご迷惑です。――お帰りください」
低い声で繰り返し、ぎりぎり怪我はさせない程度の力を込める。
「っ――」
ばっと手を振り払い、男は逃げるようにその場を去っていった。その際に何人かの女性客にわざと肩をぶつけていたあたり、今後、あいつのホームグラウンドは駅にでも変わるのだろうか。
もういっそのこと、この店ではなく、この地球から出禁にしたほうがよかったまである。あんなのが送り込まれて来た日には、宇宙人ですら大迷惑だろうけれど。
――て、いうか……。
振り返り、晃大は休憩室へと続く薄暗い廊下を見た。
一体なぜ、彼女がこの店に……。不安気にこちらを見上げる視線を思い出し、変なふうに胸がざわついた。
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