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晃大には、オナニーをする習慣がない。そんな虚しい行為をせずとも、溜まる前に女の子のほうから声がかかるからだ。
第一、ここ『VIPマグナム』男子寮において、落ち着いてそういうことをできる空間はほぼないと言っても過言ではない。部屋は二人一組で、ベッドは左右の壁に寄せて一つずつ。二段ベッドならワンチャンあったかもしれないが、このレイアウトでは相手の寝姿が余裕で視界に入る。
大浴場は論外だし、シャワールームなら立ってどうぞという感じだ。恐らく多くの寮生は自室のトイレで済ませているのだろうけれど、なんというかそれは、晃大の性には合わなかった。
一人で。トイレで。そこまでして自分を慰めなければならない状態に追い込まれること自体、まずありえないだろうと思っていたのだが……。
――あー、なんかめっちゃムラムラする……。
大学の講義中、しれっとそんなことを思った自分に驚いた。思えば、今日受けた講義の内容が一つも頭に入っていない。
それは晃大だって人間なのだから、ムラムラするときくらいある。けれど、普段から適度に女の子とセックスをしている晃大にとって、日常生活に支障をきたすほど性欲を持て余すなんて滅多にないことだった。
ちんこ……というか、金玉のあたりが絶妙に重い。あと、下腹部のあたりが妙に疼くというか、そわそわする。
最後にセックスをしたのはいつだろう。記憶を遡ってみると、一ヶ月も前にエヴァンとしたのが最後だったことに気がついて愕然とした。
その間、いくらでも女の子からの誘いはあったにもかかわらず、よくもまあここまで放置できたものだ。ただでさえ晃大は、ちんこも金玉も人よりデカいのに。
――いや、それは関係ない……のか?
どうでもいい。けれど困った。体の反応からして性欲は溜まっているのだろうが、それがイコールでセックスをしたいには結びつかない。オナニーをしたいわけでもない。
「……だる」
呟いて、晃大は机に突っ伏した。
ここのところ、全てにおいてやる気が出ない。今までだってそんな、やる気全開の生き方をしてきたわけではないけれど、それ以上だ。大学も、バイトも、連れと遊ぶのも、女の子と遊ぶのも、全部面倒臭い。加えて金玉まで重くなりだしたとなれば、もう限界だ。なんとしても、そこだけは解消しておかないと。
女の子とするか、一人でするか。こういうとき、エヴァンとなら思う存分できただろうに。
いやしかし、今となってはそれさえも怪しかった。おそらく今の自分では、エヴァン相手に勃起すらできない。エヴァンのことを考えるたびに、あの日の涙を思い出して複雑な気分になる。
女の子もダメ。エヴァンもダメ。オナニーもダメ。なにか、それ以外の方法でこの悶々とした感覚を改善する方法はないだろうか。
『金玉 重い 解消法』
机に頭を突っ伏したまま、足元でスマホを操作する。違う違うと思い直し、
『性欲 解消法』
で検索をかけた。
――ああ、その手があったか……。
ぱっとスマホの画面を閉じ、晃大はとにかく、講義が終わるまでの時間をその場でじっとやり過ごした。
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