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 四時限目終了のチャイムが鳴ると同時、晃大はさっさと荷物をまとめて席を立った。 「じゃ、俺はこれで。またな」  隣の席に座っていた昌樹へと軽く手を振ってその場を立ち去ろうとすると、たちまち後ろから「ええ〜」という声が上がる。 「晃大、また先帰っちゃうの? つまんなぁい」  華奢な腕を絡めて引き止めてくる理沙に続き、そうだそうだと昌暉も同調した。 「なんだよおまえ、先週あたりからまた付き合い悪いじゃん。勘弁してくれよ。おまえがいないと女子の参加率低いんだって」  勘弁してくれよはこっちのセリフだ。女子の参加率云々のために、なぜこちらが予定を変更しなくてはならないのか。そこは嘘でも『おまえと遊びたかったのに』と言ってくれ。ていうか言え。そんなのだからモテないのだ。 「悪い悪い。けど俺、マジで今日は先約あるから。――理沙ちゃんもごめんね? また今度、時間あったら」  昌暉に向けた適当な謝罪とは別に、理沙には柔らかな口調で断りを入れた。しゅんと眉尻を下げた理沙が、渋々と腕を解いてくれる。 「わかったぁ……」  昌暉とは違い、純粋に晃大を引き止めてくれていたのだろうとわかるその態度。こういうところ、変に男同士で群れるより、女の子といるほうがよほど有意義だよなとたまに思う。  まあ、それはおそらく全動物の全オスが本能的に思っていることではあるのだろうが、それに応えてくれる女の子がいるかどうかは別問題だ。けれど晃大は間違っても、自分を好いてくれる女の子の気持ちを利用して、ほかの男の色恋に協力するような真似はしないと心に決めている。男同士の友情や結託に女の子を巻き込むことがいかに下劣で低俗な行為であるのかを、高校時代の一件で痛感したからだ。  似たようなことはちょくちょく、いろんなやつに言われるし、都度ムキになって言い返しても仕方ないので笑って受け流してはいるけれど、さきほど昌暉が口にした『おまえがいなきゃ女子が集まってこない』などといった発言も、晃大の中ではわりと地雷だったりする。晃大目的で集まってくる女の子がいたとして、なにゆえ自分もその恩恵にあやかれると思っているのか。  晃大に寄ってきた女の子はもれなく晃大の守備範囲であり、十人だろうが二十人だろうが、この身一つで対応できる。そうして何人もの女の子と体を重ねてきたけれど、いまだかつて、相手方からクレームが入ったことは一度もない。どころか、みな満足して帰ってくれる。  しかし……。 「じゃ、またな」  ひらひらと手を振り、晃大は颯然と講義室を後にした。

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