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「っ、また……」  これでもう何度目だろう。女の子やエヴァンとのセックスを絶って以降、たびたびこの感覚に襲われる。都度ジムで発散しているものの、ここのところはその頻度が上がってきているというか、走ったくらいでは完全に解消された気がしないのだ。  こうなればもう、潔く抜くしかないのだろうか。まあおよそ間違いなく、それが一番手っ取り早い解決法ではあるのだろうが。 「……」  ゴクリと息を呑み、そろそろと視線を下半身に向ける。  ……いや、いやいや。するにしても、今はまずいだろう。いつ結月が戻って来るかもわからないうえ、明かりを灯したまま、布団すら被らずベッドの上でだなんて……。 「結月……」  口にしたと同時、意に反してズンと下腹部のあたりが重くなった。  ――や、ば……俺……。  刺激を欲し、衝動に近い形で手が下着の内側に伸びる。指先が中心へと触れかけたその瞬間。ふいに、窓の外からピストルをぶっ放したかのような爆音が鳴り響き、心臓が飛び跳ねた。 「っ――!」  驚きに目を見開いたのと前後して、ぱっと部屋の明かりが消える。なんだなんだと、暗闇の中、晃大は慌てて身を起こした。 「……停電?」  手探りで枕元に置いていたスマホの明かりを灯し、ベッドから起き出て部屋の奥へと歩み寄る。デスクとデスクに挟まれる形で設置されたテレビ台の後ろには腰高窓があり、腕を伸ばしてカーテンを開けた。  ちょうど稲妻が走るタイミングだったようで、瞬間的にぱっと空が明るくなる。窓ガラスを叩きつける大粒の雨は、晃大が大学から帰るときよりもいっそう激しさを増しており、今や完全なる嵐と化していた。  しばし呆気に取られて立ち尽くしていると、手に持っていたスマホが音を立てて振動した。寮生全員が加入する義務のあるグループチャットに、寮長である{一条|いちじょう}からメッセージが届いていた。 『停電なう』  いや、どこのギャルだ。 『現在状況確認中でーす。熱中症にならないよう、水分ちゃんと摂ってください。懐中電灯、各部屋に置いてあるので必要な人は使ってね』 『ヒント:デスク裏、右らへん』  追加で提示された情報に従ってデスクを確認すると、引き抜くと同時に点灯する常備灯を発見した。 「……まあ、あえていらない気もするけど」  今どき、スマホにライト機能くらい備わっている。思った直後、はっとしてスマホの充電残量を確認した。 「24パーセントって……」  はぁ、とため息を零して常備灯を手に取る。ぱっと目の前が明るくなったのと前後して、スマホの画面を消灯した。  停電ということは、コンセント経由の充電器ももれなく使用不可だろう。いつ電気が復旧するかもわからない今、下手に充電を消耗したくない。  ――そういや、結月のやつ……。  ぐるりと手に持った常備灯で部屋を照らしてみて、テーブルの上、結月のスマホが置きっぱなしになっていることに気づいた。  シャワーを浴びて帰ってくるだけだから、いちいち携帯する必要もないと思ったのだろう。晃大ならまずありえないことだが、今はそんなことどうでもいい。問題は、結月が無事に部屋まで帰ってこられるのかだ。  恐らく非常灯的なものがあるだろうから心配は無用かと思われるが、状況が状況なだけにやや気がかりではある。シャワー中に停電なんて、タイミングが悪いにもほどがあるだろう。

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