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「そのままの意味。おまえだって俺のこと、ただのチンコだと思って見てたわけじゃないだろ」 「お金を落としてくれるチンコだったからね」 「よりひどい」  目を合わせて、ふっと肩を揺らしあった。エヴァンの表情は柔らかく、こいつってこんなふうに笑うやつだったんだなと、新鮮な気分になった。  極上の男娼として振る舞うエヴァンの、磨き抜かれた美しさには常々感心していたが、重い鎧を脱ぎ捨てたかのように軽やかなその笑顔は、以前よりもずっと、エヴァンという人間を魅力的にしていた。 「幸せなんだな」 「なに?」 「幸せって、顔に書いてある」  よかったなと、晃大はエヴァンの頭を撫でた。  ウェーブがかっていて、さらさらとした手触り。少しも名残惜しくないかと言えば嘘になるが、エヴァンが幸せそうならそれでいいと思う気持ちは、紛れもない本心だった。  それに今は、晃大にも好きな人がいる。 「気安く触らないでよね」  さっと手を振り払われ、はいはいと晃大は腕を引いた。  ほんの、別れの挨拶みたいなものだった。無論、晃大とエヴァンは交際していたわけではないし、これを機に離ればなれになるわけでもないけれど。一つの区切りとして、笑顔でエヴァンを送り出してやりたかった。  しかし……。ふと、真顔になって晃大は言った。 「……あんときは泣かせて悪かった」 「あのとき?」  考える間があって、ああ、と理解した表情をエヴァンが浮かべた。 「別に、セックスが下手で泣いてたわけじゃないけど」 「それは知ってる。俺はセックスが上手い」  おまけにチンコもでかい。というか、チンコがでかいからこそ、テクニックを磨かざるを得なかったのだ。ただチンコがでかいだけの下手くそは、むしろ女の子に嫌われる。 「なんつーか、あのあと俺、いろいろ反省してさ。悩んでるおまえのこと、輪を掛けて傷つけたんじゃないかって。もし、そうだったとしたら……今さらかもしんないけど、ほんとに悪かった。ごめん」  あのとき自分は、エヴァンがいつもの状態ではないことを知っていて、その体を抱いた。どうしたのかと訊いても理由を口にしないエヴァンに、だったら自分ができることは、体を満たしてやることくらいだと判断して、それを実行した。エヴァンの体は反応していた。けれど、エヴァンは泣いていた。あの涙が、今でもずっと、晃大の胸に引っ掛かっていた。 「なんか、晃大変わったね」 「変わった?」 「うん。……なんか、重くなった?」 「重っ、て――」  ディスられているのだろうか。晃大としては、真面目に謝りたかっただけなのだが。 「俺はほんとに気にしてないから。そんなこと気にしてる暇があったら、晃大も早く、ほかの相手作りなよ。俺に執着しないでね。俺はもう、朔実としかやらないって決めたから」 「おい、おいおい、おいおいおい」  ものすごい変わり身の早さだ。急に一途な彼氏持ちムーブしてきやがった。こちらの真面目な謝罪も、あろうことか執着呼ばわりである。

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