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「一回病院行ってみれば? 知り合いの彼氏もEDで、病院通ったら治ったって言ってたよ」 「病院」  幼いころから手間のかからない健康優良児だったはずの自分が? この年にして、勃起不全で……。  ――ないないない。ありえない。 「んじゃ、あたしもう帰るから」  着ていても着ていなくても変わらないくらい少ない面積の服を身に纏い、三つ折りの財布すら収納できなそうなクリームパンサイズのバックを肩に提げて、美桜は立ち上がった。  鷹の爪ほどあるネイルが施された細い手をひらひらと振りながら、一直線にドアのほうへ歩いていってしまう。ふと足を止めたかと思うと、 「ああ、そうそう……」  打って変わった真面目な表情でこちらを振り返った。 「一応忠告しとくけど、ソレ――治るまで女の子ホテルに連れ込むのやめなね。相手に失礼だから」 「う……」  射るような視線を股間に注がれて、咄嗟に、そばにあったクッションでそこを覆い隠した。 「ま、あたしはいいけどね。前戯だけでも何回かイけたし」  病院、気になるならどこ行ったのか訊いといてあげるけどと言われ、なけなしのプライドでそれだけは断っておいた。もしここで紹介なんかしてもらったら、また彼女がEDの男と出くわしたとき、知り合いのバウンサーが通ってたとこなんだけど……と、今度は自分が症例にされてしまう。そんなのは死んでもごめんだ。 「へっ。病院って」  美桜が部屋を立ち去るなり、晃大は冗談っぽく吐き捨てた。  ないない。こんなの、一過性の症状に決まっている。寝不足とかストレスとか疲労とか、そんなところだ。  ……ところで、『一過性』って、いったいどのくらいの期間を指すのだろう。四日前に女の子とホテルに来たときも勃たなかった。実はその二日前も、さらに五日前も……。  たらりと、冷や汗がこめかみを伝う。ベッドボードに置いていたスマホを手に取って、ものすごい勢いで検索ワードを打ち込んだ。 『ちんこ 勃たない なぜ』 『ここ付近 おちんこ病院』 『勃起不全とEDは同じ?』 『スッポン サプリ 効果はいかほど』  気づいたときには、美桜が去ってから一時間近い時が経っていた。はっとして、検索履歴と、念のため予測変換の履歴も消しておいた。

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