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 大股で二人のそばへと歩み寄り、被っていたキャップを外して晃大はにこやかに挨拶した。 「なっ」  同時に声を発した大島と結月の間に割って入り、打って変わった低い声で問いかける。 「俺のルームメイトになんか用ですか?」 「っ、晃大……」  背後で発せられた焦ったような声を聞いて、ぐっと拳に力がこもった。 「……まってんじゃねえよ」 「へ……?」 「こんなクソ野郎相手に、謝ってんじゃねえよ!」  響いた怒声に、目の前の男の肩がビクッと揺れた。 「おいてめぇ、ちょっとツラ貸せや」 「な、なんだよ……やる気か? こんな就活シーズンに暴力沙汰なんか起こしたら、俺もおまえもただじゃ済まなっ――」 「しねえよ、んな馬鹿なこと」  は、と大島が目を瞬いた。即座に、だったらなにが目的だという反抗的な目で睨み返してくる。 「おれはただ、溜まってるから一発抜かせてくれっつってんの」 「は?」 「こちとら年中ヤることしか考えてない頭すっからかんの猿だからよお、穴さえありゃ、おまえみたいなブサメンでもイケるってわけ。――人に強制的に押し付けた好意を受け入れてもらうのが当然だと思ってんなら、もちろん、おまえも受け入れてくれるんだよな?」 「気っ、色悪いこと言ってんじゃねえぞボケっ! 誰がおまえなんかとっ――」  ぐっ、と。晃大は大島の襟首を掴んで引っ張った。 「てめ……っ」 「晃大っ――」 「自分がされて嫌なこと、他人にならしていいとか思ってんじゃねえよチンカスが」  上から見下ろすように額を突き合わせ、震える瞳を見据えて言った。そして大島の反応など待つ間もなく、突き飛ばすように掴んでいた襟首を離す。 「っ――」 「てめえが好きになってもらえないのは、ただ偏にてめえがキモくて、ダルくて、ウザくて、ゲスいカス野郎だからだろ」  さらに言えば、卑怯で傲慢で無神経で粘着質。人に好いてもらえる要素が皆無中の皆無だ。 「な、に……っ」 「自分が好きになってもらえない理由を、他人のせいにしてんじゃねえよクズ」  そしてこいつの最もたる欠点は、他責思考であることだ。それがなによりタチが悪い。  こいつの根っこには常に、自分は悪くない、悪いのは自分を受け入れてくれない周囲のほうだという腐った考えがある。だからどんな理不尽な言動でも、自分の中で一方的に正当化されて、性懲りもなく実行に移してしまえるのだ。つまるところ、クソが付くレベルで自己中なのである。 「次、結月にちょっかい出したら潰す。確実に潰す。就活なんて夢のまた夢になるくらい、徹底的に潰す」 「っ――」 「とっとと失せろ、ザコ」  言い切った晃大に歯噛みして、間もなく、大島はその場を去っていった。

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