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「お疲れー。結月、惜しかったね」 「ほい、スポドリ。あ、先輩たちもどうぞ」  ベンチで休んでいた郁人と大誠が歩み寄ってきて、試合後のメンバーに冷たいスポドリを手渡してくれた。それぞれ礼を言って受け取り、一息ついて、向かいのコートを振り返る。 「おーい、おまえらー! そろそろ引き揚げんぞー」  榊の呼びかけに、すでに試合を終えてわちゃわちゃとラリーを繰り返していた双子と、その遊び相手を任されていたエヴァン、朔実ペアがこちらへと駆け寄ってきた。 「どっちが勝ったの」  戻ってきたエヴァンが、誰にともなく訊いた。真っ先に応えたのは、剱崎だ。 「7対5で俺と爽明の勝ち。向こうの後衛は手強かったが、前衛が足引っ張ってたからな」 「前衛どっち?」  エヴァンの素朴な疑問に、剱崎が視線で晃大を指す。ちらりとアクアブルーの瞳がこちらを向き、居た堪れなさにがっくしと肩を落とした。 「ダメじゃん晃大。恋人の前なんだから、もっと格好いいとこ見せないと」 「仰る通り……って、え?」  隣で靴を履き替えていた結月と同時に、ばっとエヴァンの顔を見た。 「恋人、って、なんでそれ……」  呟いた晃大に、エヴァンがきょとんと首を傾げる。 「なんでって、朔実が言ってたから」 「いや、僕は大誠から聞いて……」 「いやいや、俺は郁人から聞いてだな……」 「ん? 俺は結月本人から聞いたけど」  巡り巡って自分へと戻ってきた視線に、結月があわあわと視線をさまよわせた。 「ちなみに、俺は朔実から聞いたあと、将剛に教えたよ」 「俺はそれを爽明に教えたな」 「悪い御子柴、小熊。その話してるとき、六槻と九重も部屋にいたから、多分ここにいる全員知ってる」 「知ってるよーん」 「知ってるよよよーん」  エヴァン、剱崎、榊、小柳兄弟と口々に告げ、気づけば寮公認のカップルのようになっていることに、晃大は愕然とした。  ――まあ、俺は別に問題ないけど……。  靴紐を持ったまま固まる結月は、かなり動揺しているようだ。 「……ま、俺が一方的に言い寄ったみたいなもんなんで。振られて困るの俺っすから、あんま囃し立てないでくださいね」  冗談っぽい笑みに交え、よほどのKYでない限り伝わる程度には牽制の意も込めて釘を刺した。伝わったのか、話はやんわりと幕を閉じ、みなで次の目的地へ向かうことになった。

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