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第46話 セックスしたいのは

 僕の方こそ、なんだけど。  ―― 真咲さんが大丈夫なところまで触らせて。  それを言うなら。 「あっ……っ、ン」 「首筋、弱い?」 「っ、ンっ」  柴くんが大丈夫なところまで、触ってください、だと思うんだけど。  女の子が恋愛対象だった柴くんが男の僕に触って「違った」ってなるところまで確かめた方がいいよ、じゃないの? って思うけれど。  ―― 多分、真咲さんが一番、怖がってること。  僕が怖がってるって言って優しく撫でてくれた。 「あっ、柴くんっ」 「うん」  腰を引き寄せられて密着するように促されて、そわっとしてしまう。 「前にさ、お姉さんをイタリアンレストランに招待した時、引き寄せたじゃん」 「あっ」 「ドキッとした。細いよね、本当」  身体をくっつけたら、きっとわかるから。  ―― 俺が萎えるかもって、思ってるでしょ?。  思うよ。  そう言ってくれたけれど。  萎えるかもしれないじゃないって。  僕が男だって。わかってるって言ってくれたけど、僕はやっぱりわかってない気がしてしまうんだ。 「ほんと……」  だから、ほら、引き寄せられた腰を引いてしまいたくなる。 「真咲さん、耳真っ赤」 「っ」  耳にキスされただけで、ぎゅっと肩をすくめてしまう。柴くんは、さ。手がすごく気持ちいいんだ。この手に頭を撫でてもらうと、この指に髪をすいてもらうと、とろけてしまいそうなくらいに気持ち良くなれる。それは唇も、みたい。 「ン、んっ」  唇で耳に触れられただけで、ふわふわとした柔らかい気持ちになってしまう。  ――萎えないけど。 「真咲さん」 「……あ」  すごい。  ――萎えないけど。  そんな顔、するんだ。  柴くんが。  ―― 真咲さんが触られて、困るところまで。  僕のことを物欲しそうに見つめてる。  ――触っていい?  触りたそうに見つめてる。 「まだ、平気……」 「そ? じゃあ、もっと触るよ」 「っ、ン」  そんな顔を見せられたら、怖いとか戸惑いとかが負けちゃう。 「あっ」 「くすぐったい?」 「違っ」 「肌、スベスベ」 「ン、ンンっ」  そして、代わりに、柴くんのことが欲しいって欲が勝っちゃうんだ。 「肌の触り心地やばいね」 「あっ」  ベッドの端に柴くんが腰を下ろしてる。僕はその柴くんに跨るように向かい合わせで座ってた。  だから、太腿に触れてる。  柴くんの、硬いのが。  まだ、萎えてない。 「やば……真咲さんのベッドに乗っちゃった」 「っ、なん、そんなの、別……に」 「敢えて入らないようにしてたしね。好きな子のベッドなんで」 「好、好きな子って、そんな可愛いものじゃ」  ないでしょう? 僕じゃ、君が知ってる可愛い女の子と同じ「可愛い」って単語を向けてもらうのは、遠慮したくなってしまう。 「ね、真咲さん脱がして」 「っ」 「真咲さんが腰引こうとするから、手で掴んでないと、落ちちゃうんで」  ニコッと笑って、できるだけ柴くんの身体から距離を取ろうとする僕の腰をキュッとしっかり掴んでる。  おずおずと手を伸ばして、柴くんのTシャツを捲り上げてく。  顕になる腹筋、胸筋に見惚れてしまう。  着痩せ、するんだ。  すごい。 「あんま見つめられると、キンチョーするじゃん」 「っ、ごめ」 「美味しそうな身体してた?」 「! そ、んな」 「真咲さんがしてきた今までの相手の中で」 「っ」  そっと、その逞しい胸に指先を置いてみる。 「や、じゃない?」 「?」 「僕、今まで」  たくさんセックスしてきた。遊びで、欲求の解消のための、簡易的で、短絡的なセックスをたくさん。その都度、違う人と。 「やじゃないよ」 「……」 「それ言ったら、俺も、女の子としてきたし」 「……」 「今、真咲さんがしたいって思ってくれてるのが、俺ならいいよ」  今、僕がセックスしたい、のは。 「もちろん、俺は、真咲さんと今、すごくしたい」 「っ」  今、柴くんがセックスしたいのは、僕。  今、ものすごくセックスしたくてたまらないのは。 「あっ……」  お互いさま、で。 「真咲さん」 「あっ……そこっ」 「まだ大丈夫?」 「う、ン」  ゾクゾクって背中を駆け抜ける快感に思わず仰け反りながら、捲り上げられて、顕になった胸にキスをしてもらった。 「柴くん、平気?」 「?」 「胸、ないでしょ?」  あの柴くんがキス、してくれてる。 「んー、感想を言った方がいい?」 「あっ」  僕の何にもない、平べったい、膨らみも何もない胸に。 「強いて言うなら」  唇で咥えてくれて、舌で舐めてくれた。 「あぁっ、それっ、ダメっ」 「最高、かな」  乳首を柴くんに愛撫されて、ゾクゾクって背中に快感が駆け上がってく。身体の奥がとろりととろけてく。 「あ、あ、あ、っ、柴、くぅ……ン」 「感じる?」 「う、ンっ、それ、ダメっ」  片方を唇で喰まれて、それから舌先で転がすように撫でられながら、もう片方を指で摘まれると、頭の芯が痺れる口くらいに感じてる。 「あ、柴くんっ」 「うん」  あ、まだ。 「あの……」 「?」  萎えてない。 「もっと」  それがたまらなく嬉しくて。 「触って」  理性が、とろけてしまいそう。

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